研究課題/領域番号 |
20K21672
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大島 勇人 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70251824)
|
研究分担者 |
常木 雅之 新潟大学, 歯学部, 研究支援者 (40714944)
依田 浩子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60293213)
原田 英光 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (70271210)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
キーワード | 接合上皮 / 退縮エナメル上皮 / エナメル質形成 / 成体幹細胞 / 歯肉 / 歯の萌出 / 移植 / マウス(遺伝子改変) |
研究実績の概要 |
本研究は、退縮エナメル上皮由来接合上皮の運命と歯の萌出後の接合上皮における幹細胞/前駆細胞の細胞ダイナミクスを明らかにした。野生型およびGFP遺伝子改変マウス下顎第1臼歯歯胚(胎生15日~生後1日)を生後2週齢のGFP遺伝子改変および野生型マウス上顎第1臼歯歯槽窩に移植した。μCT解析後、パラフィン切片を作製し、Nestin、Ki67、GFP免疫染色を施した。さらに、BrdUまたはEdU腹腔内投与・(ドキシサイクリン投与)TetOP-H2B-GFPマウス(細胞分裂回数に応じて細胞の蛍光強度が減弱するノックインマウス)を用いてチミジンアナログとGFP陽性細胞追跡実験を行った。歯頸部領域でエナメル質形成は正常に進行し、接合上皮の形態は正常の歯の発生過程のものと同様であった。GFP遺伝子改変マウスをホストとした移植歯では、接合上皮はGFP陰性であったが、口腔粘膜上皮はGFP陽性であった。一方、GFP遺伝子改変マウスをドナーとした移植歯では、実験期間中GFP陽性であった。TetOP-H2B-GFPマウスを用いて、生後4~5週にドキシサイクリン投与ですべての細胞をGFPラベルした後、幹細胞の特徴である非対称分裂する接合上皮のラベル保持細胞(LRCs:組織幹細胞)を同定し、増殖帯とLRCsの位置的関係が明らかになった。この所見は、接合上皮には増殖能をもち非対称分裂する幹細胞様細胞が存在することを示唆している。興味深い事に、接合上皮におけるLRCsと増殖帯の位置的関係が常生歯(一生涯生え続ける歯)であるマウス切歯の上皮幹細胞ニッチであるapical budにおける両者の位置関係と一致を見た。ラベル保持細胞は接合上皮に傍基底細胞層に維持されていた。従って、接合上皮は歯胚上皮幹細胞ソースとして利用できる可能性がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
FACS、RNAseq解を次年度に延長して行う。
|
今後の研究の推進方策 |
生後4~5週齢にDoxを投与後3日後にDoxをオフ後EdUを投与したTetOP-H2B-GFPマウスを1日(5匹)、3日(5匹)、5日(5匹)、1週(5匹)、2週(5匹)、4週(5匹)に深麻酔下で頸椎脱臼しサンプル採取し、非対称分裂をして強いGFP陽性を示し、かつ細胞増殖周期にある細胞をFACSで選別する。さらに、GFP陰性細胞についてもRNA-seq解析をする。このことにより、接合上皮幹細胞を精製する。さらに、接合上皮幹細胞が局在する時期に、生後4~5週齢にDoxを投与後3日後にDoxをオフ後EdUを投与したTetOP-H2B-GFPマウスの接合上皮と歯肉上皮を深麻酔下で頸椎脱臼をして別々にサンプル採取して、増殖能(EdUにR-フィコエリスリン[PE]蛍光タンパクを結合したキットで検出)のあるGFP強細胞(組織幹細胞と思われるLRCs)を分取して、細胞培養下でエナメル芽細胞への分化能を検証する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大のために当該年度の計画の一部を次年度に移行したため。
|