研究課題
本研究では、歯周組織細胞や免疫担当細胞のDNA超らせんの高次構造とスーパーエンハンサーの役割を明らかにすることで、 炎症性サイトカイン遺伝子の包括的な転写制御機構の解明し、高齢者の歯周組織と全身の急性炎症の病態をゲノムレベルで解析することが目的である。研究開始初年度の2020年は、炎症生サイトカインIL-6を高産生する、細胞老化の亢進した歯周組織構成細胞株のスクリーニングを実施した。そして、IL-1beta、LPSの共刺激に対する炎症生サイトカイン応答に及ぼす、DNA超らせん構造の維持に重要なDNAトポイソメラーゼ I特異的阻害剤と転写調節因子の阻害剤の及ぼす影響を検討した。そして、ゲノム解析の手法として、当初予定していた転写調節因子BRD4に対する抗体を用いたクロマチンIP-シークエンス法とクロマチンIPを必要としない、転写が活性化されたユークロマチン領域に対するATACシークエンス法の比較、検討を行った。 現在、老化歯根膜細胞と正常歯根膜細胞のライブラリーを作成し、次世代シークエンス(Novaseq6000)を用いて、リード長150bp、ペアエンド、53.3Mリードペアで解析した。今後、IL-6、IL-8のプロモーター上流領域をISVゲノムブラウザで、オープンクロマチン領域の可視化、評価を行う予定である。高週齢マウスならびにP.gを投与した高血糖ob/obマウスでin vivo歯周病評価モデルを構築し、菌血症を誘導することで、歯周病の病態形成と血液マーカーならびに肝機能状態の計測系を樹立した。カンプトテンシンが全身に及ぼす効果を評価する予定である。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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