研究課題/領域番号 |
20K21678
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
大野 充昭 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (60613156)
|
研究分担者 |
辻 孝 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (50339131)
渡辺 亮 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (60506765)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
|
キーワード | 歯胚発生 / 転写因子 |
研究実績の概要 |
歯を含む上皮間葉相互作用により発生する臓器は,特定部位の上皮組織が肥厚し,間葉組織に陥入することで生じる。そして,上皮細胞が様々なサイトカインを分泌し,間葉細胞の遺伝子発現を制御することで発生が開始する。これまで,多くの研究者は,歯胚発生の運命決定メカニズムを明らかにするため,発生過程の組織から経時的にRNAを抽出し,網羅的解析を行ってきた。しかし,発生過程において,歯胚を構成するすべての細胞が同じ挙動を示すわけではなく,細胞同士が上皮間葉相互作用を含む様々なコミュニケーションを取りながらダイナミックに変化するため,これまでの細胞集団の平均値的解析では,発生メカニズムを詳細に捉えることは困難であった。そこで,本研究では,Single Cell RNA-SeqやSlide-Seqなどの最新の科学技術を応用し,誰も成し遂げることができなかった歯胚発生の運命決定メカニズムを明らかにすることを目的に以下の計画を立てた。歯胚発生初期のマウス歯胚および非歯原性口腔粘膜組織を単離し,scRNA-Seqにて1細胞解析を行う。次に,位置情報を有したSlide-Seqにて解析し,間葉細胞と相互作用を起こしている上皮細胞群が特異的に発現している転写因子を抽出し,scRNA-Seqの結果と照らし合わせて関連因子を絞り込む。そして,オルガノイド技術を応用することで,口腔粘膜組織から歯胚発生を誘導可能な転写因子,つまり歯胚発生における運命決定転写因子を同定する. 今年度は, 発生初期の歯胚をマウスから単離し,scRNA-Seq解析およびSlide-Seq解析を行った。現在,これらの解析から歯胚発生初期に重要な役割を担っているであろう転写因子を抽出している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに,scRNA-Seq, Slide-Seqを行い解析を進めており,本研究計画はおおむね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,今年度に実施したSingle cell RNA-SeqおよびSlide-Seqのデータから,歯胚発生に関わりの深い転写因子を抽出する予定である。また,抽出された転写因子に関しては,オルガノイドを用いた実験にて機能解析を進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の蔓延により当初計画時と異なり,国際学会・国内学会参加が困難となったため,次年度に持ち越すこととなった。使用計画としては,学会参加費ならびに論文投稿(英文添削含む)に必要な費用に充当する予定である。
|