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2021 年度 実施状況報告書

次々世代ロングリードシーケンスによる口腔dysbiosisの新定義

研究課題

研究課題/領域番号 20K21682
研究機関九州大学

研究代表者

山下 喜久  九州大学, 歯学研究院, 教授 (20192403)

研究分担者 古田 美智子  九州大学, 歯学研究院, 講師 (20509591)
竹下 徹  九州大学, 歯学研究院, 准教授 (50546471)
須磨 紫乃  九州大学, 歯学研究院, 助教 (70759365)
影山 伸哉  九州大学, 歯学研究院, 助教 (90822495)
朝川 美加李  九州大学, 歯学研究院, 助教 (90852583)
研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2023-03-31
キーワード口腔マイクロバイオーム / 次々世代ロングリードシーケンス / 全長16S rRNA遺伝 / 口腔dysbiosis / 高齢者
研究実績の概要

香川県まんのう長琴南区在住の75歳以上の在宅高齢者を対象とした口腔の健康状態と嚥下機能、手段的日常生活動作能力(Instrumental Activity Daily Living; IADL)、認知機能、栄養状態の関連性につては、過去に取得したデータを用いて本年度解析を順調に進めることができた。その結果IADLについては現在歯数との関連性が認められ(ポアソン回帰分析でrate ratio 1.007, 95%CI: 1.002-1.013)、歯数が多い者ではIADLの値が高い、つまり自立した社会生活を営む能力が高かった。現在歯数とIADLの関係のメカニズムとして、栄養状態、認知機能、社会参加状況が関与すると考えられた。そのため、その経路を検討するために因果媒介分析を行ったところ、現在歯数とIADLの関係には認知機能と社会参加が媒介していたが(proportion mediatedが認知機能は27.3%、社会参加は22.7%)、栄養状態は関与していなかった。
一方で、新たに唾液を採取する計画は、コロナ感染状況が収束しない状況では実施が困難との結論に達した。そこで、本研究計画の口腔の健康状態と嚥下機能、 IADL、認知機能、栄養状態の関連性の解明とは別に、過去に全国の歯科医院に依頼して採集している重度歯周病患者の唾液を用いて、久山町の健常者と唾液細菌叢の構成を比較することで、本研究の主な研究目的である口腔dysbiosisの新定義を進めることに研究方針を大きく転換した。久山町住民の唾液サンプルについては、他の科研費を用いて進行している口腔細菌叢と腸内細菌叢の比較を目的として採取している唾液サンプルを用いて、上記の重度歯周病患者の唾液サンプルと比較することとした。本年度は重度歯周病患者の唾液から DNAを抽出し、そのサンプルを用いてロングリードシーケンスを開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

一作年度に予定していた唾液採取を昨年の実施に変更したが、新型コロナ感染の広がりが収束をみせないため、研究代表者が令和4年度末で定年することもあり、これ以上の延期は困難と判断し唾液採取の実施を断念することとした。
一方で、 PacBio Sequelを用いた16S rRNA遺伝子全長のロングリードシーケンスについては他の集団から得られた唾液サンプルを用いて予備的な研究を進めたところ、目的とする一人当たり3000リードの塩基解読が可能であることを確認できており、既に唾液の採取を手配していた歯科医院から集める重度歯周病患者の唾液を用いて、久山町の歯周病が健康な住民から既に採取している唾液をコントロールとして比較することで、歯周病患者の唾液マイクロバイオームの特徴を明らかにすることができ、その結果歯周病に関連する口腔dysbiosisの解明に繋がると期待される。

今後の研究の推進方策

PacBio Sequelを用いた16S rRNA遺伝子全長のロングリードシーケンスについては技術を確立できているためその点についての不安は全くない。一方で、解析サンプルである重度歯周病患者の唾液は既にほとんどが集まっている。また、コントロールとして用いる久山町住民の唾液は既に収集済みであり、本研究の今後の進捗には問題は全くない。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの感染状況が収束をみせないため、香川県まんのう町琴南地区での唾液サンプルの採取が困難であったため、唾液の採取に必要な費用が余剰となった。次年度では研究方針を大きく転換して全体の計画を進めることで本研究の達成を目指している。

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公開日: 2022-12-28  

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