研究課題/領域番号 |
20K21689
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
宇田川 信之 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70245801)
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研究分担者 |
小出 雅則 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 准教授 (10367617)
中道 裕子 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (20350829)
中村 美どり 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (90278177)
山下 照仁 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 准教授 (90302893)
上原 俊介 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (90434480)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 骨吸収 / 骨形成 / 骨代謝カップリング / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / 歯周病 / 心臓血管疾患 / Siglec-15 |
研究実績の概要 |
破骨細胞では、ITAMモチーフ含有分子の中ではDAP12とFcRγの発現が高く、ダブル欠損マウスは大理石骨病を呈する。津田(第一三共株式会社)らは、DAP12と会合して、破骨細胞の分化に伴って特異的に発現が上昇する免疫グロブリンスーパーファミリー分子として、シアル酸受容体タンパク質Siglec-15を同定した。 我々は、Siglec-15中和抗体の効果について、マウス由来の細胞培養系において検討した。Siglec-15抗体は、マウス由来のマクロファージ系細胞から破骨細胞への分化誘導と成熟破骨細胞による骨吸収機能を強く阻害した。さらに、Siglec-15抗体は、M-CSFとRANKLの存在下で、TRAP陽性の多核破骨細胞の分化を阻害すると共に、ALP陽性の骨芽細胞を多数誘導した。この時、多核破骨細胞形成は完全に抑制されたが、単核TRAP陽性前破骨細胞の存在が認められた。つまり、Siglec-15抗体は、破骨細胞前駆細胞から多核破骨細胞への分化と骨吸収機能を阻害すると共に、骨芽細胞の分化を促進する可能性が考えられる。 そこで、今回我々は、破骨細胞からの骨形成促進シグナルの解析を目的として、破骨細胞の分化と機能をサポートする免疫受容体であるシアル酸受容体タンパク質Siglec-15シグナルとOPGとの関係をin vivo 動物実験を行い、詳細に解析することにした。正常および骨粗鬆症・歯周病モデルマウスであるオステオプロテゲリン(OPG)遺伝子欠損マウスに各種濃度のSiglec-15中和抗体を投与した。4週間後骨改造現象を骨形態計測手法を用いて観察する。現在、正常およびOPG欠損マウスにおける骨形態計測が終了し、得られたデータの解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
免疫受容体であるシアル酸受容体タンパク質Siglec-15シグナルとOPGとの関係を明らかにするために、in vivo 動物実験を行った。正常および骨粗鬆症・歯周病モデルマウスであるオステオプロテゲリン(OPG)遺伝子欠損マウスに各種濃度のSiglec-15中和抗体を投与した。4週間後骨改造現象を骨形態計測手法を用いて観察する。現在、64匹にわたるマウスの骨形態計測が終了し、データの解析中である。以上の実験結果は、骨・循環器・消化器におけるオステオプロテゲリンのネットワーク機構の解明のために有用であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)Siglec-15抗体の破骨細胞と骨芽細胞分化における作用メカニズムの解析 マウスおよびヒト由来細胞を用いた培養系を用いて、Siglec-15抗体の作用を検討する。WntシグナルレポーターBAR(β-catenin activated reporter)-Redレンチウイルスをヒト初代培養骨髄間葉細胞に導入する。また、WntシグナルレポーターマウスTCF/LEF-H2B-EGFPおよびSclerostin-GFPノックインマウスより骨芽細胞を調製し、Siglec-15抗体の骨芽細胞・骨細胞分化への作用を解析する。 (2)破骨細胞を介した骨芽細胞分化促進機構の解析 W9ペプチドやリコンビナントWnt5aの骨芽細胞分化促進作用について、Siglec-15欠損マウス由来の細胞培養系を用いて解析する。Siglec-15欠損マウス由来骨芽細胞にBAR-Redレンチウイルスを導入し、骨形成を促進する古典的Wntシグナルへの影響を解析する。 (3)Siglec-15抗体のマウスへの投与実験による骨代謝カップリングメカニズムと癌免疫療法とのクロストークの解析 骨粗鬆症モデルマウス(OPG欠損、卵巣摘出OVX)、関節リウマチモデルマウス、癌の骨転移マウスなどの各種骨病変マウスにSiglec-15抗体を投与し、骨代謝カップリング機構と抗癌作用を観察する。またSiglec-15抗体のRANKエクソソーム分泌への影響を検証するため、Siglec-15抗体を破骨細胞培養系に添加し、培地中のRANKエクソソームを回収する。ELISAによりエクソソーム画分中のRANK濃度を測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)破骨細胞と骨芽細胞分化に対するSiglec-15抗体の作用に関する実験が遅延したため。 (使用計画)上記実験を早急に遂行する予定である。
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