研究課題/領域番号 |
20K21690
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
各務 秀明 愛知医科大学, 医学部, 教授 (80242866)
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研究分担者 |
住田 吉慶 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (50456654)
李 憲起 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (60350831)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 血中循環腫瘍細胞 / 決定論的横置換法 / スフェロイド / マイクロデバイス / 細胞分離技術 |
研究実績の概要 |
腫瘍の低侵襲な診断法として,採血によるリキッドバイオプシーが注目されている.解析対象にはDNA, RNA,細胞外小胞などがあるが,中でも血中循環腫瘍細胞(CTC)の解析は,遺伝子変異や細胞株のみでは判断できない個別の腫瘍に対する治療薬の選定に有用であることから重要である.しかしながら,その頻度は血液10ml中に数個程度とされ,簡便で効率的な抽出は困難であった.われわれは,これまで工学系研究者との共同研究にて「決定論的横置換法(DLD)」を応用したマイクロ流体デバイスを用いて,幹細胞の効率的な抽出法を開発してきた.一定の大きさの細胞塊を,動力や抗体を用いることなくフローのみで抽出可能な技術である.また,幹細胞の効率的な培養法として,自発的スフェロイド培養法を開発した。CTCの効率的な抽出のため、小細胞塊、大細胞塊および目的サイズの細胞塊の3つに分離可能なDLDの試作品を用いて、スフェロイドの分離を行った。その中で、本研究目的で作製したデバイスでは、回路中の気泡除去の困難さや作業中の気泡混入があり、十分な精度での分離は困難であった。そこでこれらの問題を解消可能な当たらなデバイスのを作製し、流速をコントロールするためのシリンジポンプを導入し、回路の流速を厳密にコントロールした状態での評価を行った。現在のデバイスでは目的とする細胞塊の分離は可能であるものの、目的外のサイズの細胞塊の混入や細胞断片、細胞凝集塊などの除去精度が不十分であり、現在さらに分離精度を向上させることをも目的として新たなデバイスの設計を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で用いるDLLについては、外部機関へ委託して作製する体制となっている。しかしながら、マイクロデバイスの作製は技術的な難しさがあり、設計変更から新たなデバイス作製には当初想定した以上の時間を要した。現在までに2種類のマイクロデバイスについての検討を行っており、今後は問題点を改善された新たなデバイスが入手可能となるため、研究の進捗が期待できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
DLL作製の委託先とのディスカッションにより、デバイス作製に関する技術的な課題について、解消の目途がたっているとのことであった。また、本研究で最も重要な細胞分離の精度を検証するための実験に特化した単純化されたデバイスを本年度は用いる予定であり、当初の目的については実現可能と考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度12月に所属機関が変わったため、異動に伴って研究ができない期間が生じた。今年度は新たな所属機関での研究が年度初めから可能であり、計画通りの研究ができると考えている。
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