腸内細菌叢が健康に与える影響に関する知見が集積されてきているが、妊娠による同細菌叢の変動が胎児の健康状態にどのように関連するかについては十分に明らかにされていない。また、食事は腸内細菌叢に大きな影響を与えるが、食事の状況を十分に把握することは難しい。本研究の目的は、妊婦を対象とし、詳細な食事記録調査と腸内細菌叢調査を実施して、これらが早産・低出生体重に与える影響を検討することである。 本研究は、東北メディカル・メガバンク計画の三世代コホート調査で妊婦を対象に使用しているFFQ(Food Frequency Questionnaire; 食物摂取頻度調査票)の妥当性を検証するために行うFFQ妥当性研究に、腸内細菌叢調査を上乗せするものである。妊娠前期及び中期の女性を対象としている。 2020年度には、プロトコールに関して倫理審査委員会の承認を得、妊婦をリクルートするためのご案内資料を作成し、協力いただける産科医療機関との調整も完了して、妊婦のリクルートを開始した。同意いただいた妊婦には3日間食事記録を行ってもらい、その翌日に約1時間におよぶ栄養士との対面での聞き取り調査を行ってもらう予定であった。2020年の新型コロナウイルス感染症の蔓延とリクルート開始時期とはほぼ一致しており、妊婦の安全を最優先にしてリクルートを中止した。新型コロナウイルス感染症はその後も蔓延が継続し、2020年度中の再開は叶わなかった。
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