本研究の目的は、妊婦を対象とし、詳細な食事記録調査と腸内細菌叢調査を実施して、これらが早産・低出生体重に与える影響を検討することである。腸内細菌叢は宿主の免疫を刺激して炎症を引き起こすことが明らかになり、早産・低出生体重との関連が示唆されている。食事は、腸内細菌叢の構成に影響を与える重要な外来因子である。食事の影響はおよそ24時間で腸内細菌叢の変化として顕在化する。このように食事は妊娠と出産に関連する重要な因子であるが、その評価は難しく、ゴールドスタンダードである食事記録法を用いることは容易ではなく、これまでに妊婦で実施された事例はない。 本研究は、東北メディカル・メガバンク計画の三世代コホート調査で妊婦を対象に使用しているFFQの妥当性を検証するために行う、FFQ(Food Frequency Questionnaire)妥当性研究に腸内細菌叢調査を上乗せするものである。妊娠前期及び中期の女性を対象とし、宮城県内の産科医療機関に協力を求めるものである。 コロナ禍にありながら、Webを中心とした手法を用い、宮城県内の妊婦さん123名に「妊婦を対象とした食物摂取頻度調査票の妥当性の検証」の調査にご参加いただいた。このリクルート数は、11施設におよぶ医療機関の協力なくしては達成できないものであった。腸内細菌検査においては、腸内フローラ、バクテロイデーテス門、ファーミキューテス門など6個の門について検査を行った。食事記録から得られた栄養素摂取量、腸内細菌叢検査から得られた結果、および早産、出生体重とは、有意な関連がみられなかった。
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