研究課題
ゲノム編集を用いてABO遺伝子の上皮細胞特異的転写調節領域(+22.6-kb site)を欠失した胃癌培養細胞KATOIIIを作製したところ、ABO遺伝子の発現が低下した。一方、ABO遺伝子のセントロメア側66.0-kbで+22.6-kb siteのセントロメア側43.4-kbにあるOBP2B遺伝子の発現が低下することが観察された(Sano R, et al. Sci Rep 2021;11:7325)。クロマチンループ構造は連続的に変形しても性質が保たれることを考慮し、トポロジカル関連ドメイン(Topologically Associated Domain, TAD) と呼ばれる。また、TADの内部で遺伝子発現が制御されることが明らかになっている。一方、ABO遺伝子周囲にはループ形成に基づくTADが想定されている。従って、前述の結果は、上皮細胞ではABO遺伝子とOBP2B遺伝子が同一のTAD内に存在し、同一の転写制御を受けている可能性を示唆している。ところで、ABO遺伝子の解析は非常に多く実施されている。また、Oアレルが存在し、A型やB型が欠失するヒトがいるにも関わらず、ABO遺伝子の欠失したヒトの報告がない。「なぜABO遺伝子は消滅しないのか?」という問いに対する答えとして、OBP2B遺伝子が種の保存に必要なため、+22.6-kb siteが必要となり、ABO遺伝子が保存されていることが考えられる。OBP2B蛋白精製の準備として、抗体を用いた免疫沈降法によりオドラント結合蛋白OBP2Bを分離し、イムノブロットを行い良好な結果を得た。次に、母乳中ではOBP2B蛋白がリガンドと結合していることが予想されるので、母乳を材料として免疫沈降実験を繰り返したが、良好な結果が得られなかった。
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