研究課題/領域番号 |
20K21700
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森 武俊 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (20272586)
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研究分担者 |
野口 博史 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (50431797)
真田 弘美 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (50143920)
高橋 聡明 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (50824653)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | リアルワールドデータ / 画像識別 / 褥瘡 / ディープラーニング / スキンテア / 深層学習 |
研究実績の概要 |
創傷評価法として臨床に普及し活用が進んでいる様々なツールは,ほとんどの場合もっぱら主として視覚を中心とした主観的評価に基づくため評価者や評価機会によってリピータビリティが高くないという重大な問題が指摘され続けている.より客観的な指標や計測あるいは算定手法が求められている.統一性・簡便性が重要なことは繰り返し言うまでもない.また将来的には医療者のみならず介護にかかわるソーシャルワーカーによる評価も行われるようになる.重症度や経過評価の妥当性が確保され,信頼性が高く,客観的な手法が望まれている.本研究は創傷画像を自動分類してアセスメントスコアを自動算出することで,インタラクティブに創傷の客観的評価を支援するシステムを開発するものである.初年度は,褥瘡回診で蓄積された患者カルテ情報とリンクした褥瘡デジタル画像データについて,手入力作業により褥瘡領域を正解形状として入力した.また,その領域のDESIGN-Rの各項目スコアをアノテーション入力し,機械学習で各項目についての識別モデルを構成する方法を構成した.a)特徴量計算システムを中核とする機械学習システムの基盤を構築した.機械学習による創傷の各項目の自動分類システムは,深層学習のなかでもセマンティックセグメンテーションとオブジェクト認識に優れたU-netとDarknetに基づく手法を改良拡張しソフトウエア化している.b) 創傷画像データへのアノテーションを簡易におこなうユーザインタフェースプログラムを作成し,デルファイで正解スコアをデータ化した.c) また,ポータブル撮像機構システムを作成した.これによりデータを追加収集し画像処理アルゴリズムの開発を効率化することが可能となった.d)創傷画像と患者カルテのデータおよび正解データを集約したデータベースシステムの作成を開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた機械学習システムによる特徴量計算システム,アノテーションインタフェース,ポータブル撮像機構のいずれも順調に開発が進んでおりまた,実際にデータ自動分類システムのPoCも進んでいる.またカルテデータと画像データの突合データベースシステムのコンセプト設計が確立し,開発も進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
褥瘡のスコアリングシステムであるDESIGN-Rは2020年度に日本褥瘡学会によってあらたな基準が提案されている.これは人手あるいは主観性からより客観性を重視する仕組みの提案であり本研究の方向性とまさに一致している.本研究を進展させ,さらに学会による新提案に対応する機器センサ技術とを組み合わせるようなポータブルなシステムがのぞまれる.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナにより出張を伴う調査を2年次に延期した.また機器ポータブル化に利用可能な小型カメラと超小型トラッカーについて2021年度に新型の部品が発売されることが見込まれるためそれら部品の購入を2021年度に延伸した.
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