研究実績の概要 |
本研究の目的は、妊娠期がん(妊娠期に発症するすべてのがんを本調書では「妊娠期がん」と呼ぶ)を発症した女性患者(サバイバー)、パートナー、親などの家族の経験を、システミックに明らかにし、これにより、妊娠期がんの患者家族への、望ましい意思決定支援の方法を導き出すことである。この目的を達成するために、後ろ向き観察研究(質的研究法)として、妊娠期がんのサバイバー家族に、家族合同インタビューを実施する予定であった。 しかし、COVID-19 関連の影響により研究活動が困難だったため、先ず Biographic Narrative Interpretive Method などの質的研究の方法論についてのレビューと検討を進めた。次に、妊娠期がん患者および家族の意思決定・意思決定支援の現状と課題を明らかにすることを目的に文献検討を行った。海外文献はPubMed, CINAHLを用いて、cancer, pregnancy, decision-making, nursing のキーワードで検索した。国内文献は、医中誌 Web版( Ver.5)を用いて、(腫瘍/TH or がん/AL) and (妊娠/TH or 妊娠/AL) and (意思決定/TH or 意思決定/AL)をキーワードとし、検索した。海外文献は83件のうち、full textがある文献は59件、国内文献は73件の会議録を除き、抄録がある文献は39件であった。うち妊娠期がん患者の治療に関する意思決定に関する海外文献11件、国内文献18件を精査した。標準的ながん治療法は多岐にわたり、妊娠、出産、母乳育児、喪失体験など状況が変化するため、臨床的な意思決定プロセスは複雑であり、看護師は、女性とその家族を積極的に支援し、多職種で協力して実践のための適切かつ十分なエビデンスを構築する必要がある。 研究は継続する予定である。
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