研究実績の概要 |
在宅高齢者のリスクアセスメントは、持ち込める測定器が限られるため、客観的指標が少なく経験の中でリスクを見抜く必要がある。しかし、認知症高齢者や 意思疎通が困難な高齢者は、心身の変化を聞き出すことが困難なため、評価が難しい。 本研究の目的は、特殊な機器を必要とせず、 患者の協力度に左右されない、在宅で病気発症のリスクを判定可能な科学的評価システムを開発し、地域包括ケアで活躍する訪問看護師のリスクアセスメント力を支援することで ある。 Actim CRP(Medix Biochemica社)は1-4, 4-8, >8mg/dlの3段階判定において、98%の高い相関性を示し視認性もよく有用であるが、簡便性(操作の手順)と判定方法に課題があり、在宅で応用するには難があった。 今年度は企業と共同でCRP迅速診断カセットの開発を行なった。本キットは、抗CRP抗体と組換えタンパクを用いて、CRPに特異的かつ濃度依存的にテストラインが生じるイムノクロマトを原理としている。指尖から微量血液(10ul)をキャピラリーで採取 し、反応液に混合後滴下すると、5分で2, 4, 6 mg/dlを判定できる。Actim CRP (Medix Biochemica社)と比較して、視認性と感度はやや劣るものの、簡便性、 操作性に優れている。現在、新潟大学医歯学総合病院呼吸器内科に肺炎のため入院した患者を対象に、定量値との相関性について実証実験を行なっている。
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