研究課題
妊娠中の喫煙は児の出生時体重の減少をもたらす。胎児期の発育遅延は成人期の生活習慣病の危険因子である。しかし、近年急速に普及している加熱式たばこの次世代影響については不明な点が多い。本研究では、協力医療機関の産婦人科を受診した妊娠女性を対象として、加熱式たばこを含む喫煙状況を質問紙調査で明らかにし、児の出生時体重との関連の解明を試みた。妊娠初期(10-12週頃)に医療機関を受診した患者に質問紙を配布し、今年度までに556名分(回収率96.0%)を回収した。妊娠判明後も喫煙しているのは4名(0.7%、紙巻きたばこ2名、加熱式たばこ3名、複数回答、以下同じ)、妊娠判明後に禁煙したのは51名(9.2%、紙巻きたばこ23名、加熱式たばこ45名、電子たばこ2名)であった。それ以外に妊娠判明前の喫煙歴を有するのは113名(20.3%、紙巻きたばこ110名、加熱式たばこ61名、電子たばこ13名)であった。自宅か職場で週5回以上受動喫煙を受けているのは76名(13.7%)で、場所は自宅が65名(紙巻きたばこ31名、加熱式たばこ33名、電子たばこ14名)、職場が21名(紙巻きたばこ16名、加熱式たばこ15名、電子たばこ4名)であった。さらに、出産直前(35-36週頃)に妊娠中の生活習慣に関する質問紙を配布したところ328名より回答があり、妊娠中も喫煙を継続しているのは紙巻きたばこ1名、加熱式たばこ1名であった。週5回以上受動喫煙を受けているのは31名(9.5%)であり、全例で自宅での曝露があった。現時点では喫煙者の例数が少なく、また出産時の臨床情報の収集を進めている途中であり、加熱式たばこと出生時体重との関連を明らかにできるだけの知見が得られていない。今後は症例数を増やして解析を進め、加熱式たばこの次世代影響の解明およびリスク評価に資するバイオマーカーの開発を目指す。
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Shimane J Med Sci
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https://www.med.u-fukui.ac.jp/laboratory/environmental/