本年度は、低濃度MPP+(MPTPの活性代謝物)により惹起される、本来細胞質でオートファジー により選択的に分解されるタンパク質p62が核に蓄積するという現象が他の条件によっても起こるか調べた。p62核蓄積を簡便にモニターすることを考え、GFP-p62を細胞にトランスフェクションし、GFPの核蓄積を調べる実験系を構築し、様々な条件でp62核蓄積が起こるか調べた。当初、細胞培養メディウムをグルコース飢餓かつアミノ酸飢餓となるPBS(+)とし、かつミトコンドリア脱共役剤であるCCCP (50 microM) を曝露した際に、p62核蓄積が認められる可能性が考えられたため、この再現性を確かめた。その結果、この条件では、GFP-p62のみならずp62を結合していないGFPでも核移行(不溶化)が認められたため、PBS(+)およびミトコンドリア脱共役剤の組み合わせは、低濃度MPP+と異なりp62核蓄積を誘導する条件ではないことが明らかとなった。現在のところ、低濃度MPP+と同様のp62核蓄積が認められる実験条件は見出されていないが、引き続き検討を行っている。
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