研究課題
本研究では、「歯周病原菌に感染したマクロファージ」が、全身疾患を背景とした様々な環境下で放出するexosomeを中のmicro RNAを同定し、多種類の歯周病関連疾患発症を一括に予測するリキッドバイオプシーの確立を目指し実験を行った。昨年度までに、ヒトマクロファージ細胞株THP-1細胞に歯周病菌Porphyromonas gingivalisを感染させ、培地中に放出されたexosomeを抽出する方法や、得られたexosomeからmicro RNAを抽出し、次世代シークエンサーにより塩基配列を解析する手技を確立した。本年度は、代表的な歯周病関連疾患である糖尿病に着目し、歯周病が糖尿病を発症させるリスクをスクリーニングし得るmicro RNAの同定を目指した。1. 糖尿病発症に特異的なexosome含有micro RNAの同定糖尿病を模倣する培養条件として、高グルコース及び最終糖酸化物AGE存在下で、THP-1を培養し、上述と同様の方法で、exosomeに含有されるmicro RNAを同定した。高グルコース下でPg感染によりexosome内への含有が増加するmicro RNA 118種類(内、4倍以上の変化を示すmicro RNA は23種類)、減少するmicro RNA 177種類(内、4倍以上は44種類)であった。AGEについては、同様に、増加micro RNA 192種類(43種類)、減少micro RNA 198種類(27種類)であった。2. 高グルコースとAGEの両条件に共通して増加するmicro RNAとして32種類の、減少するmicro RNAとして54種類を、候補として絞り込んだ。さらに、その中から、データベースを活用し、数種類を最有力な増加micro RNAとした。
すべて 2021
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Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Molecular Basis of Disease
巻: 1867 ページ: 166236~166236
10.1016/j.bbadis.2021.166236