研究課題/領域番号 |
20K21715
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
奥原 義保 高知大学, 教育研究部医療学系連携医学部門, 教授 (40233473)
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研究分担者 |
畠山 豊 高知大学, 教育研究部医療学系連携医学部門, 准教授 (00376956)
片岡 浩巳 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (80398049)
久原 太助 高知大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師 (80457407)
堀野 太郎 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (90448382)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | Real World Data / 検査値推定 / 知識データベース / 蛋白電気泳動 |
研究実績の概要 |
2020年度は、「身体所見の段階までで異常の疑いのない検査は実施せず、異常が疑われる検査のみを実施する」を検証する前段階として「欠測値は正常であったのかどうか。」を検証するため、蛋白電気泳動検査から血清生化学検査の値を推定する方法を評価・確立することを目的に、分担研究者が所属する診療科の協力のもと、来院患者の同意を得たうえで、通常の検査オーダによる検査に加えて、同一血液検体から蛋白電気泳動検査を実施し、血清生化学検査値の推定値とオーダによる検査結果との比較およびオーダされなかった検査項目の推定値評価を行う予定であった。しかしながら、昨年度はコロナ禍のために協力診療科の臨床業務に余裕がなく、これらの前向きデータ収集ができなかった。また、この状況は当面続くことが予想された。 このため、既に蓄積されている蛋白電気泳動検査結果の件数を確認したところ、当初予定していた前向きデータ収集の件数より多いことがわかり、このデータを用いて本研究を進めることにした。現在まで、蛋白電気泳動検査結果データを既に運用している解析用サーバーでData Ware House(DWH)化する作業を行っている。当初の計画では、前向きデータ収集と並行して、対応する患者の電子カルテの主訴、現病歴、身体所見、前医の所見の情報を抽出・特徴量化したデータを、新しく設置・拡張するサーバーでDWH化し知識データベースとする予定であったが、蛋白電気泳動検査結果のDWH化を先に始めたため、電子カルテ情報の知識データベースはまだDWHの設計段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた前向きデータ収集はできなかったが、前向きデータで見込んでいた件数を上回る過去データの蓄積があることが判明し、それを用いた研究遂行が可能であることがわかった。 データ収集の時間も省略でき、コロナ禍のために開始が遅延していたプロジェクトの進行状況の遅れを取り戻せた。
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今後の研究の推進方策 |
データベース化した蛋白電気泳動検査結果に対応する患者の電子カルテの主訴、現病歴、身体所見、前医の所見の情報を抽出・特徴量化したデータを、新しく設置・拡張するサーバーでDWH化する。 データベース化した蛋白電気泳動検査結果と、オーダされた検査の結果を比較し、蛋白電気泳動検査から血清生化学検査の値を推定する方法を評価・確立させる。この推定方法と検査オーダーの情報を用いて、「欠測値は正常であったのかどうか。」を検証する。 電子カルテの主訴、現病歴、身体所見、前医の所見の情報を抽出・特徴量化したデータとその結果と「医師は異常が無いと考え検査を実施しなかった」という前提条件とを共に用い、ベイズ推定による欠測値分布モデルを構築、蛋白電気泳動検査から推定した血清生化学検査の値の結果と比較してA)「医師の臨床判断に影響する因子は何か?」B)「医師の臨床判断に含まれる因子が与えられれば、欠測値は正しく推定できるか?」を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、前向きデータ収集と並行して、対応する患者の電子カルテの主訴、現病歴、身体所見、前医の所見の情報を抽出・特徴量化したデータを、新しく設置・拡張するサーバーでDWH化し知識データベースとする予定であったが、蛋白電気泳動検査結果のDWH化を先に始めたため、こちらの方はまだDWHの設計段階にある。 このため、初年度の予算執行計画の中心を占めていた電子カルテ情報解析用サーバーと解析用ソフトの購入が遅れ、2021年度に執行することになった。また、前向きデータ収集の際、蛋白電気泳動検査を実施するための試薬も予算に組み込んでいたが、過去の蓄積データを使って解析が可能であることがわかり、執行しなかった。これについては、解析用サーバーのスペック増強のために使用する予定である。 さらに、コロナ禍のため情報収集を目的とした学会が全てリモートのオンライン開催となったため予定していた旅費の執行もなかった。旅費に関しては、2021年度および2022年度の情報収集と成果発表のための学会参加のために使用する予定である。
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