研究課題/領域番号 |
20K21720
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
赤瀬 智子 横浜市立大学, 医学部, 教授 (50276630)
|
研究分担者 |
槇原 弘子 横浜市立大学, 医学部, 講師 (00708696)
吉田 智 横浜市立大学, 医学部, 講師 (00846884)
福田 真佑 横浜市立大学, 医学部, 助教 (30803465)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
キーワード | 看護学 / 皮膚バリア機能 |
研究実績の概要 |
皮膚バリア機能の評価と適切な対処は疾病の予防の観点から、医療の重要な課題である。本研究は、ハイパースペクトルイメージングで皮膚バリア機能の指標データを一括測定できる方法を開発することが目的である。ハイパースペクトル技術を活用し、皮膚内の水分、脂肪酸とコレステロール、セラミドが含まれる皮脂について、波長パターンと強度から、その物質と濃度を対応させ、測定条件を確定する。対象は皮膚症状のない20歳代女性とし、洗顔後に皮脂が元に戻る3時間をスケジュールとし、洗顔直後と洗顔1.5時間後、洗顔3時間後における額の角層水分量と皮脂量の実測値を測定した。さらにハイパースペクトルカメラで同じ部位を撮影し、光イメージング技術を用い、波長の反射強度から NDSIを求めた。そして実測値と NDSIとの相関から角層水分と皮脂を検出しうる波長域の検討を行なった。 角質水分量は洗顔後3時間有意な変化は認められなかった。皮脂量は洗顔直後に下がり3時間後は洗顔前と相違がなかった。角層水分量と皮脂量の実測値とハイパースペクトルカメラの反射強度については、角質水分が326組、皮脂は278組、相関関係が認められた。そのうち、最終的に角層水分を可視化しうる波長域として2組を特定し、皮脂を可視化しうる波長域として2組を特定した。つまり角層水分と皮脂を可視化するのに必要な波長の組み合わせの予測がついた。今後は特定波長の濃淡により広域の角層水分量と皮脂量の分布を同時に画像化することを目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
皮膚内の水分、また皮脂から、波長パターンと強度により、物質の条件を検討した。対象は皮膚症状のない20歳代女性とし、洗顔後に皮脂が元に戻る3時間をスケジュールとし、洗顔直後と洗顔1.5時間後、洗顔3時間後における額の角層水分量と皮脂量の実測値を測定した。その結果、角質水分量は洗顔後3時間有意な変化は認められなかった。皮脂量は洗顔直後に下がり3時間後は洗顔前と相違がなくなり元の状態にもどった。その角層水分量と皮脂量の実測値とハイパースペクトルカメラの反射強度 との相関を確認した。その結果角層水分量は、950-1650nmにおける全パターンのうち相関の見られた326組において、水の構造上特徴的な吸収波長が含まれるのは26組であった。可視化した際にグラデーションが詳細に表示できるのが2組であった。皮脂については全パターンのうち278組がNDSI と皮脂量に相関があり、ヒトの皮脂組成は、トリグリセリド、ワックスエステル、遊離脂肪酸、スクアレンが含まれる吸収波長吸収波長が6組であった。そのうち、グラデーションが詳細に表示できるのが2組であった。角質水分量及び皮脂量を光イメージングにより表示できるのは4組、6波長と特徴づけられた。結果として順調に成果が見い出せている。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究において、角質水分量及び皮脂量が実測値と相関のあったかつ、画像化に適している6波長が選定された。今後は、身体における分布がクリアに表示されるよう、画像化の濃度表示を更に詳細にnm単位にて検討していく必要がある。また、一般化を目指しているため、光イメージングで角質水分量及び皮脂量を捉えられる濃度をできるだけ幅広く捉えられるように検討していく。このようにして角質水分量及び皮脂量の予測式と共に、身体において角質水分量及び皮脂量を可視化するソフトの開発を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ハイパースペクトルの波長の特徴や波長域の検討に際し、カメラを何回かレンタルして測定している。条件検討においても測定方法やスケジュールを工夫したことで最短期間で実施できたこと、画像取得を工夫したことで費用が最小限にできたことがあげられる。そのため、経費の削減につながった。次年度への使用額が生じたが、その使用計画としては、次年度は主に画像解析による予測式の確立やソフトの開発がメインとなり、解析用の高精度のパソコンが必須となるため、それに用いる。最終的には計画通りの使用となる。
|