インフルエンザウイルスを対象に、過去にパンデミック化した群(H1N1/H3N2亜型)と高病原性ながら未だにパンデミック化していない群(H5N1亜型)間で宿主適応変異を導入する前後でHA特性変化を比較した。その結果、H1N1/H3N2-HAにおいては、変異導入によるヒト型レセプター結合特異性の獲得が膜融合pH閾値とHA構造安定性の代償性変化を伴わず、その特性がH5N1-HAと大きく異なることが明らかとなった。またPB2とNAの変異群について解析した結果、ヒト増殖性を高めるだけではなく抑制する変異も存在しており、パンデミックは複数遺伝子の変異による協調やtune-upも重要であると推察された。
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