研究実績の概要 |
呼吸器におけるTRPチャネルファミリーの日内変動解析を行った。無処理のC57BL/6Jマウス(7週齢,雄)を、4時間ごと(10時, 14時, 18時, 22時, 2時または6時)に解剖し、肺、気道、及び気管支を採材して、各臓器におけるTrpチャネル分子種の発現量をreal time PCR法により定量した。その結果、気道におけるTrpA1発現量には明確な日内変動が観察され、22時に発現ピークを示した。一方TrpV1でも明らかな日内変動が認められたが、その発現ピークは10時であった。また肺ではTrpV1の発現量は14時から上昇し始め22時にピークとなる日内変動を示したが、TrpA1では18時にピークに達した後減少していく日内変動が確認された。呼吸器系でのTrpチャネルの日内変動は報告されておらず新たな知見である。 また、喘息モデルを構築するために、BALB/cマウス(7週齢,雌)に卵白アルブミン(OVA)を腹腔内に2回投与して感作を成立させ、OVAを気管内投与して喘息発作(アレルギー炎症)を誘発した。その結果、OVAの2回の腹腔内投与により、血漿中IgE及びOVA特異的IgG1の上昇が認められたことから、OVAによる感作成立が確認できた。そこでこの感作マウスにOVAを気管内投与して5日後に回収したBALF中の細胞性状を調べたところ、対照群(生理食塩水投与)には観察されない好酸球を多数認めたことから、喘息モデルが確立できたと考えられた。
|