昨年度確立した喘息モデルを用い、喘息誘発物質に曝露する時刻をずらして喘息発作の程度を調べた。すなわち、BALB/cマウス(7週齢,雌)に卵白アルブミン(OVA)を腹腔内に投与し、5日後にもう一度OVAの腹腔内投与を行って感作を成立させた。このOVA2回目投与からマウスを2群に分けて明暗ボックスに入れ、明暗サイクルをコントロールして12日間飼育した。OVA2回目投与から12日後に、マウスの体感時刻(CT)の4:00及び16:00にOVAを気管内投与して喘息発作 (アレルギー炎症)を誘発させた。誘発OVAの投与5日後に炎症の程度を調べたところ、OVA誘発したBALF中には対照群には観察されない多数の好酸球を認めたが、その数は16:00誘発群よりも4:00誘発群の方が有意に多く、誘発時刻によりアレルギー炎症性の強さが異なる可能性が示された。実験性の再現性を調べると共に、TRPA1阻害剤をOVA誘発の30分前に投与して喘息発作におけるTRPA1の関与を検討したところ、4:00群でアレルギー炎症性の強さが増大することは前回実験との程度の差はあったものの同様に観察された。TRPA1阻害剤の効果は個体間のばらつきが大きく結果を導くには至らず、時間的に新たな検討を加えられなかった。各種TRP阻害剤を用い、喘息発作とTRPチャネルとの関係を検討していくことが重要と考えられる。
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