本研究は、映像IoT機器を利用した介護・看護をおこなう人の負担軽減のための先進的な介護者サポートシステムの開発を目的とした。 最終年度は、昨年度までに取得したデータの解析を中心に進めた。収集したデータ(環境センサから得られた室温や湿度、騒音など)を機械学習することにより、要介護者の生活パターンを予測するとともに、介護者より、要介護者の生活状況をヒヤリングした。データから予測した生活パターンとヒヤリング内容を照合し、その精度を確認した。特に介護者が視認できない夜間の要介護者の行動(深夜帯に起きて何かしらの行動をしている)についても非接触型機器で確認・予測できることが明らかになった。 研究期間全体を通じた成果として、①要介護者への身体接触が不要な小型環境センサを用いて、彼らの生活パターン(起床や就寝、居室の在不在)の把握、②高温や低温等の危険な室内の環境状態の検知の両者を可能とする介護者サポートシステムを開発することができた。また一部対象者において、介護者の大きな負担となっている排泄介助に関し、排泄場所の在不在を検知する通知システムを確立し運用を行った。 当初、映像IoT機器を用いた研究を予定していたが、プライバシー情報の調整に関する課題が対象者の特性からも多かったため、今後はプライバシー情報を調整できる映像処理技術を開発し、さらに精度よく介護者の負担を軽減するシステムを確立する必要がある。
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