研究課題/領域番号 |
20K21748
|
研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
後藤 直宏 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (60323854)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
|
キーワード | 多価不飽和脂肪酸 / 保健機能 / 炭素数 / 二重結合数 / 有機合成 |
研究実績の概要 |
本研究は、炭素数24、二重結合数7(24:7)、炭素数26、二重結合数7(26:7)などの天然界に存在するPUFAより炭素数が多く二重結合数が多い脂肪酸を合成し、炭素数や二重結合数がさらに多くなると脂質代謝改善能はどのように変化するかを精査し、PUFAにおける炭素数及び二重結合数が脂質代謝機能にどのように影響を与えるかを明らかにするものである。そこで2020年度は、26:7の合成方法を完成させることに絞り研究を行った。行ったスキームを以下に示す。1.減炭反応DHAに塩化オキサリルを加えてカルボン酸塩化物を合成した後、ブロモトリクロロメタンを加え、C21H31Brを得た。2.エステル化C21H31Brに酢酸、N,N-ジメチルアセトアミド、THF、TMAH・5H2Oを加え、80℃で12時間加熱還流し、C21H31OCOCH3を得た。3.アルコール化LAHを用いてC21H31OCOCH3を還元し、C21H31OHを得た。4.アルデヒド化塩化オキサリルにジクロロメタン、DMSOを加え、-78℃で10分間撹拌した後、C21H32OHを加えて30分間撹拌した。その後、トリエチルアミンを加え、C20H29CHOを得た。5.Wittig反応4-カルボキシブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、t-BuOK にC20H29CHOを加え、-45℃で3時間撹拌し、C25H37COOH を合成した。収率は、1.減炭反応:66.0%、2.エステル化:72.0%、3.アルコール化:84.6%、4.アルデヒド化:53.7%、5.Wittig反応:37.8%であり、反応全体としては8.16%であった。ガスクロマトグラフ-質量分析系での分析結果、目的の26:7が合成できていることを確認するに至り、合成方法を確立することが出来た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目的としたドコサヘキサエン酸(DHA、22:6)より炭素数も二重結合数も多い、26:7を予定通り合成することが出来た。これにより、申請時に提案した合成スキームは目的物を得るために問題なく使用できる合成スキームであることを証明するに至った。なお、24:7の合成は完了していないが、26:7を合成する際のWitting反応でカップリングする試薬を変えるだけで合成可能なため問題なく合成できると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
今回26:7を合成することが出来た。そこで、同じ手法を用い24:7を合成する。ただし、今回の方法は最終収率が8%と低い。そのため、まずは収率を上げる方法を探索する。それと同時に、これら脂肪酸の保健機能を調べることとする。ただし、合成量が現状では少ないことから、まずはHepG2細胞を用いた細胞試験にて機能を調べ、その後、動物試験へ移行することとする。
|