研究課題/領域番号 |
20K21750
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
望月 和樹 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80423838)
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研究分担者 |
安藤 隆 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (10377492)
田中 佑治 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任准教授 (40625513)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | サルコペニアモデル / BRD4 / 骨格筋 / 老齢モデル |
研究実績の概要 |
1. WTマウスと老齢サルコペニアモデルBrd4ヘテロ欠損マウスを比較したところ、対照食摂取群において、Brd4ヘテロ欠損マウスの体重、握力、臓器重量(肝臓、副睾丸脂肪、腓腹筋、ヒラメ筋、前脛骨筋)が顕著に低く、サルコペニアマウスとして使用できる可能性が示唆された。 2. 昨年度まで、カプリル酸が多い油脂[カプリル酸(C8):カプリン酸(C10)=75%:25%]を使用していたが、今年度は、カプリン酸が多い油脂[カプリル酸(C8):カプリン酸(C10)=25%:75%]を投与する実験を行った。具体的には、WT マウスとBrd4ヘテロ欠損マウスに対照食(長鎖飽和脂肪が多いラードを油脂源として使用)およびカプリン酸が多い油脂[カプリル酸(C8):カプリン酸(C10)=25%:75%]に置き換えた食餌を5ヶ月のあいだ投与した。その結果、中鎖脂肪が多い食餌を摂取したBrd4ヘテロ欠損マウスでは体重や副睾丸脂肪は低下傾向を示したが、腓腹筋、ヒラメ筋、前脛骨筋、長指伸筋の重量は増大傾向を示した。さらにBrd4ヘテロ欠損マウスへの中鎖脂肪の投与により握力が顕著に上昇した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Brd4ヘテロ欠損マウスにおいて中鎖脂肪によるサルコペニアの改善効果が観察できたため。
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今後の研究の推進方策 |
1.対照食(油脂は長鎖飽和脂肪が多いラード)およびラードの半分をカプリン酸が多い油脂[カプリル酸(C8):カプリン酸(C10)=25%:75%]に置き換えた5ヶ月間食餌を投与したWT マウスおよびBrd4ヘテロ欠損マウスの骨格筋(腓腹筋、ヒラメ筋、前脛骨筋、長指伸筋)においてに、タンパク質分解系(Murf1, Atrogin 1等)、活性酸素除去系(Gpx8など)、筋再生系(Myh3等)、糖取り込み(GLUT4)が観察されるかを調べる。さらに骨格筋の病理標本を作成し、筋束の萎縮、線維化が観察されるかを観察する。さらに、Brd4ヘテロ欠損マウスでは、骨格筋内に特殊な構造物が観察される知見をすでに得ているため、この構造物が中鎖脂肪の投与によって以下するか等を観察する。 2.WT マウスおよびBrd4ヘテロ欠損マウスに3-5ヶ月間 対照食(スターチ源は米粉)および米粉の約半分を大麦に置き換えた食餌を投与し、大麦投与により骨格筋重量、握力が増大するか、その増大にタンパク質分解系(Murf1, Atrogin 1等)、活性酸素除去系(Gpx8など)、筋再生系(Myh3等)、糖取り込み(GLUT4等)のmRNA発現の適正化が関与するかを調べる。
上記の研究によって、Brd4ヘテロ欠損マウスが、サルコペニア症状を示すか、その症状が食事因子によって改善されるかが明らかとなると期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
Brd4ヘテロ欠損マウスの飼育・解析費用が昨年度は予定より少なかったため。
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