研究課題/領域番号 |
20K21759
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
木場 智史 鳥取大学, 医学部, 准教授 (40565743)
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研究分担者 |
吉村 祐貴 鳥取大学, 医学部, 助教 (50771242)
中村 和臣 鳥取大学, 医学部, 特命助教 (90598137)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | セントラルコマンド / 遺伝子改変ラット |
研究実績の概要 |
運動時の交感神経活性を司る脳メカニズムは,一世紀以上に渡る運動生理学の解明課題である.「脳高位より生じる運動発現の意志 = セントラルコマンドは,運動系だけでなく自律神経系も制御する」と考えられているが,セントラルコマンドの実体は不明である.運動興奮性の神経細胞がセントラルコマンドの根幹と考えられるが,その機能を解明するには運動興奮性神経細胞と非運動興奮性神経細胞とを切り分けて考える必要がある.遺伝子改変マウスを用い,何らかの外的刺激に興奮する神経細胞のみへの遺伝子工学的介入を可能とする方法が確立されている.この手法を用いれば,運動興奮性神経のみの機能を調査できる.しかしマウスはその小ささから,セントラルコマンド機能の評価に必要なin vivo生体信号(交感神経活動等)を得るための外科手術の多くが実施できず,セントラルコマンドメカニズムの解明研究に不向きである.一方でラットは外科手術が容易でかつその運動嗜好性から運動生理学研究に適する.近年のゲノム編集技術の飛躍的革新は,ラットの遺伝子改変を簡便・確実とした.本研究では,遺伝子改変ラットを新しく作成して運動興奮性神経への遺伝子工学的介入を可能とする方法を確立する.その方法を用い,運動興奮性神経の機能の解明を目指す.本年度には,ゲノム編集により得たラット産仔にPCRによる遺伝子検定を行い,目的とする遺伝子改変ラットを作成したことを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍に起因した海外からの試薬調達の遅れから,ノックインベクター作成の着手が遅れた.しかし遺伝子改変ラットの作成は想定の期間内で成功し,選抜・繁殖等は順調に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
運動興奮性神経への遺伝子工学的介入を可能とする方法プロトコルを確立させ,in vivo生理実験から運動興奮性神経の機能を調査する.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により試薬調達が遅れたことに合わせ,実験内容を若干修正したために次年度使用額が生じた。次年度に予定する実験では頻用する試薬が高価でありまた大量に用いるために,次年度使用額はその購入費用とする.これにより,当初の計画以上の研究を遂行できる.また実験結果を吟味する過程で必要性が明らかになれば,遺伝子改変ラットの改良版の作成に着手する.
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