研究課題/領域番号 |
20K21772
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
一之瀬 真志 明治大学, 経営学部, 専任教授 (10551476)
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研究分担者 |
小野 弓絵 明治大学, 理工学部, 専任教授 (10360207)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | スポーツ生理学 / 生体医工学 / 有酸素性エネルギー代謝 / 末梢循環 / 光技術 |
研究実績の概要 |
活動筋組織の酸素摂取量は,主に活動肢全体の血流量と動静脈血の酸素含有量の測定からFickの式(酸素摂取量=血流量×動静脈酸素較差)により推定されている。しかし,高い侵襲性や時間分解能の低さ,非活動組織(皮膚や脂肪など)血流の混入など課題が多く,ヒトを対象とした測定方法としては一般化されていない。そのため,運動能力に直接影響する活動筋の酸素摂取量の動態や最大値およびそれらを規定するメカニズムは十分に明らかにされていない。本研究の目的は,光技術を用いた骨格筋酸素摂取量の非侵襲連続測定法を開発し,運動時における活動筋酸素摂取量の動態と最大値を計測すること,およびそれらに対するトレーニング効果を解明することである。 開発する新法は,申請者らが独自に開発してきた拡散相関分光法(DCS)による活動筋血流計測と近赤外分光法(NIRS)による組織酸素飽和度測定の同時計測を実現し,それらを用いて活動筋酸素摂取量を算出するものである。2021年度においては,昨年度までに開発したDCS・NIRS装置を用いて,活動筋を対象とした血流量,酸素飽和度,酸素摂取量の同時計測に取り組み,運動中の測定に対応するための装置および計測プログラムの最適化を行った。活動筋を測定対象とする場合,安静状態とは異なり筋活動に伴うDCSおよびNIRSシグナルへのノイズの混入がみられた。このノイズへの対策として,筋活動の収縮期と弛緩期を区分してDCSとNIRSの計測を行う方法を開発し,ノイズを低減することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大により,主要な物品の導入や実験実施時期,研究成果発表など,2021年度の研究計画の一部に影響を受けたため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は,2020年度から2022年度までの3年計画を予定している。2021年度までにDCS・NIRSの同時計測の実現のための装置開発および運動中の測定に対応するための装置とプログラムの改良を行ってきた。2022年度においては,活動筋の酸素摂取量の最大値の計測に取り組み,活動筋の最大酸素摂取量がどのように規定されるのかを活動筋の血流量および酸素抽出量の最大値との関連性から検討する予定である。しかし,新型コロナウイルス感染症拡大の影響により研究活動が大きく制限されており,どの程度研究を進めることができるのかは見通せない。今後の進捗状況によっては,研究期間の延長申請を考えざるを得ない。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け,ヒトを対象とした測定を行うことが難しい状況が続いたためDCS・NIRS装置および計測プログラムの改良に取り組むことができた時期が想定よりも遅れた。これに伴い,実施予定であった装置とプログラムの修正を部分的に延期したため物品費や人件費の未使用が生じた。また,実験の規模を縮小せざるを得なかったため,人件費・謝金にも未使用が生じた。さらに,参加を予定していた国際学会や国内学会への参加を見合わせたこと,学会がオンラインでの開催となったことなどにより,旅費等が未使用となった。2022年度においては,当初予定していた物品等および2021年度までの研究成果から新たに必要となった物品等に研究費を使用する計画である。今後,新型コロナウイルス感染症拡大の影響が長引き,研究計画の著しい遅延が避けられない場合には,研究期間の延長申請も含めた対応をとる。
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