研究課題/領域番号 |
20K21774
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
橋本 健志 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (70511608)
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研究分担者 |
宮本 直和 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 先任准教授 (20420408)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 認知機能 / 骨格筋 / 加齢 / 運動 / 乳酸 / 筋収縮 |
研究実績の概要 |
加齢に伴う筋量と筋機能の低下は、身体能力や生活の質の低下の誘因となり、代謝疾患や認知症発症を誘発する、超高齢社会における喫緊の課題である。 代表者は、加齢に伴う筋「量」と「質」の低下と認知機能低下の関連性に着目し、脳機能亢進を狙いとするには、骨格筋の「量」と「質」の向上戦略が有効と仮説を立てているが、その検証は皆無である。本研究は、代表者が明らかにしてきた脳神経活動の栄養源ならびに認知機能亢進作用を有する乳酸に加え、現行のin vitro研究で見出した骨格筋の「量」と「質」向上に効果的と期待される新規外的刺激(酸素濃度や各種機能性食品素材など)を、中高齢者対象にレジスタンス運動と併用することで、骨格筋機能のみならず脳機能の亢進をも引き起こす、健康科学が目指すアンチエイジングへの貢献を可能とする方略策定に挑戦することを目的とするものである。 本年度は、コロナ禍の影響もあり、想定していた実験を遂行することが困難であった。そこで、健常若年男性を対象に、一過性の低強度レジスタンス運動や有酸素運動と食品素材の認知機能(実行機能と短期記憶)に対する併用効果を検証した。食品素材の摂取により、認知機能が亢進する傾向が得られたものの、対象者数も少なく、さらなる検討が必要である。また、現在実施中の実験もあり、引き続き解析を実施していく。 また、MRIによる骨格筋横断面積の詳細な解析と認知機能の関係性についても分析し、外側広筋の横断面積と短期記憶機能ならびに実行機能とに相関関係があることを明らかにした。 さらに、加齢という変数が骨格筋の「量」と「質」に及ぼす影響について詳細に解析し、脳機能変化の注視点についても新たな知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述したように、コロナ禍の影響もあり、想定していた実験を遂行することが困難であったことが挙げられる。特に、中高齢者を対象とする研究については、慎重に検討したい。 一方、時勢を鑑み、可能な範囲で、骨格筋の状態変化ならびに筋への刺激と脳機能の関係性について検討できたことは評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、感染症の蔓延状況を鑑み、実施可能な研究を推進していく所存である。特に、骨格筋への負荷(外的刺激)を各種検討し、その状態「量と質」変化と、脳機能変化の関係性を明らかにしていく。 異なる負荷の継続的なレジスタンストレーニングと筋量、筋質の変化、そして脳機能の変化に着目し、研究を進めていく。また、筋量、筋質に対する栄養学的アプローチも推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響もあり、想定していた実験を遂行することが困難であったことが挙げられる。特に、中高齢者を対象とする研究については、慎重に検討しつつ、引き続き、感染症の蔓延状況を鑑み、実施可能な研究を推進していく所存である。
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