研究課題
ヒト対象試験について・上下動椅子搭乗の対照群として上下動しない椅子搭乗(不動椅子搭乗)を行なった。・2020年度末までに18名の高血圧を有する被験者で、不動椅子搭乗の血圧への影響の解析を完了した。・週3回、1回30分間、合計14回の不動椅子の前後で有意な血圧変化は認められなかった。・指カフを用いた連続血圧測定(LiDCOシステム)による交感神経活性の評価と心電図のRR間隔の測定による自律神経活動(交感神経活性と副交感神経活性のバランス)を評価するプロトコール3にて、上下動椅子搭乗の効果を検討している。プロトコール2までで認められた週3回、1回30分間、合計14回(1ヶ月間)の上下動椅子搭乗の血圧下降効果は再現できている。動物実験について・正常血圧ラット(Wistar Kyoto rat: WKY)と高血圧ラット(spontaneusly hypertensive rat stroke-prone: SHRSP)の延髄吻側延髄腹外側野(RVLM)でアンジオテンシンII 1型受容体(AT1R)の発現を比較・解析したところ、高血圧ラットでAT1Rの発現が促進されているのは、神経細胞ではなくアストロサイトであった。また、受動的頭部上下動でAT1Rの発現が低下するRVLMの細胞も神経細胞ではなくアストロサイトであった。これらの所見は、メカニカルストレスによる高血圧改善でセンサーとなる細胞種は神経細胞ではなくアストロサイトであることを示唆する。培養細胞実験について培養アストロサイトに流体せん断力を加え、定量的PCR法にて解析したところ、AT1R遺伝子の発現低下が認められた。これは動物実験の結果を説明できる所見と言える。
2: おおむね順調に進展している
申請書に記載した実験計画のうち、50%以上を完了することができた。
得られた臨床試験、動物実験、培養細胞実験の結果をまとめて、2021年度内に、国際学術誌にて英語論文発表を行う。
新型コロナ感染拡大の影響でヒト対象試験(臨床試験)の被験者募集を一時期中断した。その分、臨床試験の進捗が予定より遅れているが、2021年度内に遅れを取り戻す計画である。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Cell Reports
巻: 36 ページ: 109380
10.1016/j.celrep.2021.109380
Scientific Reports
巻: 11 ページ: 7120
10.1038/s41598-021-85961-5