研究課題/領域番号 |
20K21800
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田中 文英 筑波大学, システム情報系, 准教授 (50512787)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | 物理エージェント |
研究実績の概要 |
研究計画通り「握る」「握られる」双方のソーシャルタッチを可能とする把持型デバイスの開発を行った。第1号プロトタイプは3Dプリンターで作成した硬質な外装と機械サーボモーターで作成し、その一方で第2号プロトタイプは柔らかい布素材とエアバッグ、空気圧アクチュエーターで作成した。 さらに、人が感じる痛みを、痛み研究分野で広く用いられているPain60プロトコルに基づいて計測することを想定し、実験時に痛み情報を入力・記録できるアプリケーションを作成した。 年度後半では、研究室内でのテスト・予備調査を繰り返して、Pain60プロトコルのレプリケーションから本研究での実験プロトコル開発に注力した。同時に、熱刺激装置・電気刺激装置双方のpilot testも繰り返してプロトコル開発を進めた。このプロトコル開発の目処が立った時点で想定実験計画を筑波大学システム情報系研究倫理委員会に提出し、年度内に実験計画の承認を得た。 その後、当初計画では次年度に予定していた実験にすでに着手した。分析方法として当初計画にはなかった唾液分析も採り入れて実施している。 加えて、これも当初計画にはなかったアバターのエージェンシーを活用した痛み軽減の試みにも着手した。 把持型デバイスの開発報告は、国際会議ACM HRIのStudent Design CompetitionおよびLate-Breaking Reportトラックにて採択され、前者はBest Student Design Awardに選出されている。さらに、関連する痛み表現の研究で人工知能学会全国大会優秀賞に選出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「研究実績の概要」に詳述の通り、当初計画の内容をすべて完了し、2年目に予定していた実験をすでに開始することができた。 さらに、当初計画にはなかった唾液分析や、アバターのエージェンシーを活用した新たな研究にも着手しており、総じて当初の計画以上に進展しているものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
まずは当初計画の最終目標であった本実験を実施完了し、新たに導入した唾液分析と共にその結果分析を行う。特に、痛みに関する主観分析結果と客観分析結果との関連を調べる分析は、新規性・有用性が共にかなり見込まれるため、綿密に実施して知見をまとめる。その結果は本研究のアウトプットとして国際雑誌に投稿する。 当初計画にはなかった新たな研究であるアバター研究についても、開発と検証を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
謝金(短期雇用)の計算で2円の誤差が生じた。この2円は次年度の同様の費目で使用する。
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