研究課題/領域番号 |
20K21812
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
船越 孝太郎 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (30839311)
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研究分担者 |
森 信介 京都大学, 学術情報メディアセンター, 教授 (90456773)
岩橋 直人 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (90394999)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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キーワード | 創造的推論 / 非公理的項論理 / アブダクション / 議論 / メタファー / アナロジー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,アリストテレスの項論理を拡張した非公理的論理という枠組みの上で,アナロジーやアブダクションといった推論能力を基盤とした人間の認知的・創造的な記号処理モデルを構築することである.ベクトル意味表現による意味的関連性モデルと訓練可能な推論制御アルゴリズムを与えることで,非公理的論理に基づく有用な推論システムを実現することを狙う. 本研究では,初年度・第2年度にて,研究の着想点である非公理的論理 (Non-Axiomatic Logic)を,非公理的項論理(Non-Axiomatic Term Logic)として,項表示言語として形式化した独自の構文論の上で,大きく発展させた.第3年度では,前年度までの理論的研究成果の論文化を第一に進め,人工知能学会論文誌に論文を採録されるに至った. 非公理的論理では数学的考察に基づいて先見的に与えられた意味論をベースにタスク非依存のアルゴリズムとして推論エンジンが先験的に与えられていたが, 非公理的項論理では意味論部分をタスク依存性のある暗黙知として機械学習によって獲得する必要があると共に,その獲得された意味論に基づき推論を行う推論エンジンも学習する必要である.第3年度後半および最終年度では,簡単な記号推論課題を用いたデータセットを人工的に作成し,深層学習を用いて,項表示言語の意味論であるベクトル意味表現と,それに基づく推論エンジンの実証を進めた.しかしながら,期待した性能を確認できるまでには至らなかった. 一方で最終年度には,上記論文の英訳が非公理的論理の提唱者であるPei Wangの目に止まったことで,同氏を短期間本邦に招聘し,研究期間中に生じた生成AIの急激な発展と非公理的論理の今後の発展性等について意見交換をする機会を得ることができた.これを契機として国際共同研究に発展していくことが期待される.
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