研究課題/領域番号 |
20K21818
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田原 健二 九州大学, 工学研究院, 教授 (80392033)
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研究分担者 |
鈴木 陽介 金沢大学, フロンティア工学系, 助教 (20582331)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 人工筋肉 / シリコン指 / 無音駆動 |
研究実績の概要 |
ナイロン糸人工筋肉アクチュエータの性能をある程度担保した安定な人工筋肉アクチュエータ作成方法の確立と,それを多関節構造体に組み込むための指先構造の設計,およびシリコーンゴムを用いた袋状の人工皮膚とその内部に注入するシリコーンオイルの粘度設定などを行った. ナイロン糸人工筋肉は,作成時のパラメータが多く,また,バラツキが大きいため,同じ性能のものを複数作成することが困難であったが,安定に作成可能なパラメータを選択することで,ある許容範囲内で一定の性能を持つ人工筋肉アクチュエータを作成可能な方法を確立した. また,実際にプロトタイプとして指単体を設計・製作し,単体での指先位置・姿勢制御を実現するための制御手法について構築を行った. 当初は紫外線硬化型の3Dプリンタの硬化阻害による指の構築を行っていたが,設計自由度が少ないことから,完全に内部骨格と外部柔軟皮膚を別々に設計し,最終的にそれらを組み合わせて指を構築する手法により作成した. 指の位置・姿勢検出については,外部からの視覚センサによって指先位置・姿勢を実時間検出する手法を導入し,それらを用いた指先角度フィードバック制御により,ナイロン糸人工筋肉を複数埋め込んだ多関節指の位置・姿勢制御を実現した. 一方で,シリコーンオイルによる冷却効果を用いた制御性能の向上についてはまだ実装まで至っておらず,シリコーンオイルは内部摩擦の低減と滑らかな運動の実現のみに寄与している状態である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナにより,研究分担者との対面による実験や議論ができず,それぞれの所属機関で独立して実験装置を構築する必要があったため,それによるオーバーヘッドが生じてやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,コロナの影響も縮小すると考えられるため,研究分担者との対面による実験や議論が可能となる.よって,これまでそれぞれの所属機関で独立して行ってきた実験成果を統合し,これまで構築した指を複数組み合わせたハンドを用いて,物体把持およびその姿勢制御を実現することを目指す.既に基礎実験によって複数指の協調制御は実現しているため,それらを拡張して安定把持および姿勢制御則を実装することで目標達成を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響により,研究代表者および研究分担者間での実験における各拠点への旅費の執行ができず,また,それにより学会発表等の対外発表にも遅れが生じており,また,昨今の半導体不足の影響により,実験用に必要な物品(PC等)の購入が遅れているため.
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