研究課題/領域番号 |
20K21824
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研究機関 | 株式会社国際電気通信基礎技術研究所 |
研究代表者 |
内海 章 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, インタラクション科学研究所, 研究室長 (80395152)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | 注意誘導 / 視覚注意 / 聴覚注意 / AAD |
研究実績の概要 |
本研究では、視覚と聴覚という異なるモダリティ間の注意移動を含むヒトの注意レベルの変化をリアルタイムで推定し、ヒトの注意を適応的に誘導する手法の開発に向けた基礎検討を行う。特に視覚注意・聴覚注意に関連して観測されるマイクロサッカードの高精度計測と、EEG(脳波)に基づく聴覚注意推定の新たなパラダイムとなっているAAD (Auditory Attention Decoding)の手法を組み合わせて「視覚注意優位」、「聴覚注意優位」の2状態の判別および各注意状態における注意対象の推定を試みる。本年度は、左右の耳に異なる音声刺激を提示した条件において左音声注意、右音声注意、視覚注意の3状態についてEEG(脳波)を計測し、AADによる注意状態推定精度の評価を進めた。左右耳に内容の異なる朗読音声刺激を同時に提示し、さらに視覚刺激を提示した条件で、被験者にあらかじめ定めた順序で一定時間、各刺激に注意を向けさせた。EEGの計測結果から注意対象音声の波形包絡線を推定し、音声波形から得られた特徴との相関による評価を行ったところ、音声刺激に対する注意状態(聴覚注意状態)では注意対象音声との相関が高くなることを確認した。一方で、視覚注意状態では安定した結果は得られなかった。今後眼球運動計測との組み合わせによって視覚注意を含むモダリティ間の注意移動推定について検討する必要がある。また、AADの推定処理に不安定な挙動もみられることから、今後、脳波測定部位の適切な選定、信号処理手法の改善についても検討を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EEG計測による聴覚注意推定について基本的な性能確認を完了した。眼球運動計測との組み合わせによるモダリティ間の注意移動推定に向けて順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は今年度得られたAADの検討結果に基づいて、マイクロサッカードの計測を含む眼球運動計測との組み合わせによってモダリティ間の注意移動推定を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究費をより有効に使用するため、当初予定していた多チャンネル生体アンプの新規購入を取りやめ、既存生体アンプのバッテリを交換して実験に使用した。代わりに眼球運動計測のためのコンタクトレンズ型デバイスの試作を進めた。差額は次年度に繰り越し、眼球運動計測実験のための費用に充てる。
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