研究課題/領域番号 |
20K21825
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
田村 裕 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (50263174)
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研究分担者 |
菅波 晃子 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (10527922)
並木 隆雄 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (20312001)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 人工知能 / 四診 / 血流量 / 匂い / 証 / 漢方薬処方 |
研究実績の概要 |
本研究は,人工知能による“科学知”に基づく客観的な診断治療基準を活用することで,漢方専門医による“経験知”に基づく“証”の確定と“漢方薬処方”の決定を標準化する「診断・治療支援システム」の創生に取り組んでいる. これまでは,“自動問診システム”と“舌画像撮影システム”によって集積した客観的かつ膨大な東洋医学的医療情報を人工知能(主に,ディープラーニングによる画像特徴抽出機能を適用した)により統合解析することで,漢方専門医が“四診(望診・聞診・問診・切診)”と自らの“五感”を駆使して実践している東洋医学的診断治療(患者の病状である“証”の確定と“漢方薬処方”の決定を行う過程)に係る診断基準の標準化を支援するシステムの構築を目指してきた. しかし,令和3年度からは,①“自動問診システム”による「問診」に関する情報集積と情報変換(人工知能による画像解析が可能となるような画像化方法の構築)の実施.②コロナ禍に於ける感染拡大を考慮して,“舌画像撮影システム”を“血流量等測定システム”による「切診」と“匂いセンシングシステム”による「聞診」に関する情報集積と情報処理(人工知能によるデータ解析が可能となるような処理方法の構築)に変更して実施.③ 情報変換した“自動問診システム”の情報と情報処理した“血流量等センシングシステム”の情報を,漢方専門医による“証”と“漢方薬処方”に関する診断・治療とリンクさせることが可能な支援システムの構築を実施した. 上記の取り組みにより,漢方専門医が,“四診(望診・聞診・問診・切診)”と自らの“五感”を駆使して“証”の確定と“漢方薬処方”の決定を行う過程に,人工知能による“科学知”に基づく客観的な診断治療基準を取り入れることが可能となるような支援システムの構築に向けての礎を築くことができたと思われる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
① “自動問診システム”による「問診」に関する情報集積と情報変換の実施に於いては,コロナ禍の影響による患者数の減少により,情報集積が十分に行えなかった.② “血流量等測定システム”による「切診」と“匂いセンシングシステム”による「聞診」に関する情報集積と情報処理の実施於いては,コロナ禍の影響による患者数の減少により,情報集積が十分に行えなかった.③ 情報変換した“自動問診システム”の情報と情報処理した“血流量等測定システム”と“匂いセンシングシステム”の情報を,漢方専門医による“証”と“漢方薬処方”に関する診断・治療とリンクさせることが可能な支援システムの構築に於いては,漢方専門医の診断・治療の特徴がよく現れるようなデータの特徴を見つけ,その分類ルールを生成するための最適な機械学習手法の比較検討に依然難航している.
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今後の研究の推進方策 |
① “自動問診システム”による「問診」に関する情報集積と情報変換の実施に於いては,コロナ禍の影響はあるが,十分な情報集積が行えるよう尽力する.② “血流量等測定システム”による「切診」と“匂いセンシングシステム”による「聞診」に関する情報集積と情報処理の実施に於いては,コロナ禍の影響はあるが,十分な情報集積が行えるよう尽力する.③ 情報変換した“自動問診システム”の情報と情報処理した“舌画像撮影システム”の情報を,漢方専門医による“証”と“漢方薬処方”に関する診断・治療とリンクさせることが可能な支援システムの構築に於いては,漢方専門医の診断・治療の特徴がよく現れるようなデータの特徴を見つけ,その分類ルールを生成するための最適な機械学習手法を決定し.システムの評価を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度に於いては,若干の残額が生じたが,研究内容を変更(“舌画像撮影システム”→“血流量等測定システム”による「切診」と“匂いセンシングシステム”による「聞診」)するに当たっての主要機器等の調達は順調に進んだ.令和4年度に於いては,人工知能による“科学知”に基づく客観的な診断治療基準を取り入れることが可能となるような支援システムの構築に向けて研究を推進していく.
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