本研究は、Internet of Things(IoT)環境においてマルチエージェントの技術を導入し、高品質なIoTサービスを設計し実現することを目的とし、「IoT環境のための大規模マルチエージェントシステムの構築」と「IoTネットワークのリソース割り当てメカニズムの実現」といった2つ研究項目から構成され、理論研究と共に実証研究を実施する計画であった。令和4年度に実施した研究の成果に加え、研究期間全体を通じて実施した研究の成果は以下の通りである。 課題1の「IoT環境のための大規模マルチエージェントシステムの構築」については、動的IoT環境の特徴やIoTサービスの種類を着目し、IoT環境における多数のサーバに対して、連合形成、グラフ構造、中央集権型学習分散型実行といった3種類のマルチエージェンモデルを構築した。課題2の「IoTネットワークのリソース割り当てメカニズムの実現」については、課題1の研究成果であるマルチエージェントモデルに基づく強化学習の手法を開発し、IoTネットワークのリソース割り当てに適用した。また、IoTサービスに関わるタスクオフローディングやIoT環境における分散連合学習といった2種類の実証実験を実施した。 これらの研究成果は、電子情報通信学会英文誌、サービスコンピューティングの中核的な国際会議IEEE SCCやICSOC及びエージェントに関する国際会議IEEE ICAやIEEE/WIC/ACM WI-IATにおいて、多数の論文を発表し、サービスコンピューティングとマルチエージェントシステムの2分野に貢献した。
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