研究課題/領域番号 |
20K21835
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
古屋 晋一 上智大学, 上智大学, 准教授 (20509690)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | 超絶技巧 / 技能伝承 / マルチモーダル・センシング |
研究実績の概要 |
様々な分野のエキスパートの卓越したスキル(超絶技巧)は,古今東西を問わず,多くの人々を魅了し,産業,医療,文化の発展を推進してきた.超絶技巧の身体情報の正確な蓄積と効率良い伝達には,どのような科学技術が必要であろうか?本研究は,その問いに答えるべく,世界最高峰の身体運動情報センシング技術を活用し,超絶技巧の計測・評価・伝達システムの開発に取り組む.申請者の独自性である,多数のエキスパート・ピアニストの協力を得られる環境と,非接触で空間・時間分解能の高い身体運動センシングが可能な技術を活用し,超絶技巧に関わる特徴量(コツ)を演奏時の身体運動情報から機械学習を用いて抽出する. 今年度は,演奏技能評価用バッテリーテストの開発と,複数のカメラ画像や鍵盤情報の同期計測システムの開発と評価に取り組んだ.鍵盤の運動情報や手指の関節運動情報から特徴抽出を自動で行うシステムを解析サーバ上に構築し,ピアニスト30名の演奏技能データを当該計測システムを用いて取得する実験を実施した.得られたデータに基づいて身体運動技能の個人差を説明するための機械学習モデルの開発と評価を行った.その結果,ピアニストによる演奏の最速度の個人差の説明要因として,指先が鍵盤を押さえつけている時間の長さや,鍵盤を持ち上げる際の鍵盤の最大速度(離鍵速度)が含まれることが明らかとなった.これらの成果は,現在,国際学術誌に投稿するために論文を執筆中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計測システムの開発や評価,ならびに多数のピアニストらを対象とした演奏技能計測実験を実施しており,解析も含めて順調に進行している.海外から招へい予定であったピアニストの計測は実現していないが,その代わりに国内の著名なピアニストの協力を仰ぐことで,研究の進行の遅延を回避した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,演奏に対する聴取実験および官能評価の実施や,超絶技巧に関連する技能情報の可視化を通したバイオフィードバックトレーニングシステムの開発と評価に取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のために,海外在住の国際的な著名なピアニストによる実験が実施できず,また多数の被験者を対象とした聴取実験も十分に実施できなかったため.
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