研究課題
白鳳丸KH-19-6次航海で得られたサンプルの分析を進め、東部南太平洋および南大洋における溶存鉄濃度の鉛直断面図を作成し、酸素濃度や熱水プルームのトレーサーとなるヘリウム安定同位体比(δ3He)とともに解析を行った。その結果、東部南太平洋から南極海にかけては、再無機化による鉄の内部循環と熱水プルームによる外部鉄供給が分布を決める重要な要因であることが分かった。また中層上部に分布する再無機化した鉄が、亜熱帯域亜表層の植物プランクトン増殖に寄与していることが示唆された。また、本研究で実施した東部南太平洋および南大洋における観測結果より南極中層水(SAMW)の化学的特性(硝酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、鉄濃度比)を解析し、北太平洋中層水(NPIW)との違いを比較した。NPIWにはSAMWに比べ、鉄と硝酸塩濃度の比で最大2倍、ケイ酸塩と硝酸塩濃度の比で最大5倍大きな値を持つことが明らかになった。NPIWの影響を強く受ける北太平洋表層で鉄やケイ酸塩の要求量の大きい珪藻類が生息する理由として、SAMWと比べて鉄と硝酸塩の比の大きな水が影響を与えていることが推察された。
すべて 2021 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Journal of Oceanography
巻: - ページ: -
10.1007/s10872-021-00606-5
Progress in Oceanography
10.1016/j.pocean.2021.102662
https://nishioka48.wixsite.com/nishioka/team-4