研究課題
岩石中に微生物が閉じ込められている可能性を検討するためにまず第一段階として,岩石中に微生物を封入する実験を検討した.すなわち人工流体包有物を作ることによって、タンパク質を岩石中に封入することが可能かについて検討した.生化学物質としてウシアルブミン溶液を使用し,低温水熱条件下においてアルブミンを含む流体包有物(岩石中に包含されている流体)の作成を試みた.実験はパイプ型オートクレーブを使用した.まず,試料として,石英片を400℃で2時間加熱した後,急冷して熱応力き裂を発生させた.次にオートクレーブ内にき裂を発生させた石英片と反応溶液として流体包有物の元となる 250 mg/ml ウシアルブミン溶液,さらに反応を起こしやすくするために石英粉末を入れ,両端を溶接して密閉した.オートクレーブを充填率 95(±1)%の状況で 125℃に加熱した.反応時間は 4及び8日間とし,反応後は石英片試料による顕微鏡観察を行った.この実験から,反応溶液がタンパク質溶液であっても8日間の低温水熱条件下において流体包有物が生成可能であることが確かめられた.次にラマン分光法による熱水鉱物中の流体包有物の生体物質の検出を試みた.微生物は、海底下の堆積物や大陸などの地下に生息しており,海洋底の熱水噴出口で形成される黒鉱(海洋底塊状硫化鉱床)やバライト(BaSO4)中の包有物について、ラマン分光法で有機物が検出可能性について検討した.流体包有物の大きさは,1.5-4.5μmであり,充填温度は,黒鉱の流体包有物は 200-300 ℃であった.ラマン測定から有機物の存在 例えば、2950cm-1に小さなピークが存在するのは,C-C化学結合の存在を示している。この研究により、ラマン分光法により,鉱石中に流体包有物中に有機物(まだ微生物とまでは確認できていない)が存在する可能性が示された.
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