研究課題
雷雲から地上に降り注ぐガンマ線を、地上に設置した多地点の放射線マッピング網で測定する「雷雲プロジェクト」を、シチズンサイエンスの側面を中心に推進した。(1) 市民サポーターが電源ボタンひとつで観測を行うことができる検出器コガモ(Compact Gamma-ray Monitor, CoGaMo)を開発、使用している。2020年度は13台を市民サポーターや現地の研究者の手を借りて金沢市の周辺に設置し、観測を行った。また、2020年度には25台の追加製作も完了したため、2021年度の展開に向けて、測定器の基本性能の確認作業を進めている。(2) これからの観測に協力していただける市民サポーターの確保を目指し、Loftwork 社 FabCafe Kyoto と共同で、「雷雲プロジェクト:ふしぎな雷雲ガンモを探せ!」(https://fabcafe.com/jp/labs/%25branch%25/thunderstorm/)という一般向けのウェブページを作成した。このウェブサイトでは、専門性の高い研究者や理系知識がある人だけではなく、もともと興味をもっていない層(アウト)にも届く(リーチする)、より理想的なアウトリーチを目指し物語性のあるサイト構成になっている。(3) さらに、夏季落雷の観測を目指し、東京の高層建築物への設置にむけた相談を進めており、それに合わせて一般市民向けに宇宙線や放射線の測定を見て楽しめる企画の準備も進めている。また、2020年11月27日の理化学研究所の理研DAYイベント「研究者と話そう!~みんなで探る雷の不思議~」でオンライン講演したり、NHKサイエンスZERO「超巨大雷スーパーボルト!謎の“対消滅”を追え」 に出演するなどのアウトリーチ活動も行った。
2: おおむね順調に進展している
当初予定していた装置の製作、設置、市民向けのアウトリーチ活動やウェブサイトの製作など、おおむね順調に進展していると考えられる。
(1) これまでに取得されたデータの整理、解析、論文化を目指す。(2) 追加で製作された装置の較正作業や検証作業を行い、市民サポーターの支援を得て、現地への設置を目指す。(3) コガモ検出器の使い方や性能をまとめた「マニュアル」を作成する。(4) 取得されたデータをリアルタイムで確認できるウェブサイトの構築を進める。(5) 気象予報会社と連携し、ガンマ線を放出する雲の撮影をできる体制の構築を目指す。(6) アウトリーチ活動の一貫として、放射線や宇宙線を学ぶことのできる展示物の製作、展開を検討する。(7) 「雷雲プロジェクト」を広く知ってもらうため、SNS などでの広報活動を進める。
基金として次年度の使用分を確保してある。次年度は検出器の追加制作、現地の市民サポーターとのやりとり、リアルタイムにデータ確認ができるウェブサイトの整備、アウトリーチ活動などに使用する。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 3件) 備考 (3件)
Progress of Theoretical and Experimental Physics
巻: 2020 ページ: 103H01
10.1093/ptep/ptaa115
https://thdr.info
https://fabcafe.com/jp/labs/%25branch%25/thunderstorm/
http://enotolab.com