研究課題/領域番号 |
20K21843
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
榎戸 輝揚 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 理研白眉研究チームリーダー (20748123)
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研究分担者 |
一方井 祐子 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (00709214)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | 高エネルギー大気物理学 / 雷放電 / 雷雲 / シチズンサイエンス / オープンサイエンス / 金沢 / 雷雲プロジェクト / 環境放射線 |
研究実績の概要 |
本研究の特色は、科学研究を研究者だけで行うのではなく、近年になって様々な分野において可能性が指摘されている「シチズンサイエンス」を活用した研究手法を取り込んでいることである。雷雲では内部の強い電場により電子が相対論的なエネルギーまで加速され、大気との衝突により制動放射によりガンマ線帯域 (数メガ電子ボルト以上)まで達する放射をすることがあることがわかってきた。これは雷雲ガンマ線や gamma-ray glow と呼ばれているが、どういった条件が揃うと発生するのか、その発生条件には不明なことが多い。日本海の冬季雷雲は温度が低く、地上でも雷雲ガンマ線を観測ができる理想的な条件であるが、大気中ではガンマ線は数百メートルほどまでしか到達しないため、多地点での観測網を構築した観測が必須である。そこで本研究「雷雲プロジェクト」では、シチズンサイエンスで市民サポーターに測定を依頼できるよう、ボタンひとつで自動測定する放射線モニタ「コガモ (Compact Gamma-ray Monitor)」を開発して、榎戸らは2021年度は金沢市の市民サポーターに50個以上を配付して測定を行うことができた。シチズンサイエンスとしての研究体制を整えるため、一方井らが中心に市民サポーターとの連絡を担当した。これらの測定データの一部はリアルタイムでウェブサーバーに IoT モジュールで送信され、サーバー上での自動でのデータ監視により、雷雲ガンマ線をリアルタイムで検出し、ツイッターに自動でアラートを発出し、プロジェクトのツイッター・アカウント(thdr_proj)で迅速に市民サポーターに情報を共有するシステムを構築できた。これにより、実際に10個を超える雷雲ガンマ線が検出できている。本研究の一部は理研の研修生でもある青山学院大学の学部生の卒業論文でもまとめられた。
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