研究実績の概要 |
最終年度は、下記の研究を実施した。 1)高温適応進化大腸菌を用いたバイオプラスチック生産系の検討 ①高温適応進化大腸菌の進化系列において、先祖株、47.4℃適応株を用いて、バイオプラスチック合成酵素群発現ベクターpGEM phbCABを導入しバイオプラスチック生産を検討したところ、先祖株では、30,37℃いずれにおいてもバイオプラスチック生産を認めなかった。一方、47.4℃適応株を用いた場合、43℃でのバイオプラスチック生産を認めた。これより、高温適応進化により、phbCABの発現・機能が可能となりバイオプラスチック生産が可能となったと考えられた。 ②高温適応進化において、タンパク質恒常性(プロテオスタシス)に関与するシャペロン等の変異率が高いことから、47.4℃株でのバイオプラスチック生産が可能となったのは、異種遺伝子産物のPhb C,A,Bがプロテオスタシス系の進化により機能できたためと考えられた。タンパク質折りたたみ因子のシャペロニンGroEL/ESに注目し、その野生型と3種類の変異型全ての発現ベクターを構築した。このベクターと、温度感受性が示唆されているプラスチック合成酵素phb C発現ベクターを導入した大腸菌JM109により、バイオプラスチック生産を検討した。その結果、変異型GroEL/ES発現大腸菌でもバイオプラスチック合成が可能であることが示唆された。 2)新規バイオプラスチック生産ラルストニア菌の全ゲノム解析 前年度に単離された43℃でバイオプラスチック生産が可能となるラルストニア属と考えられる菌は、高温で機能可能な新規バイオプラスチック酵素を保有している可能性が高い。そこで、本菌の全ゲノム解析を行った。ショートリード、ロングリード解析を組み合わせることで、全ゲノム配列の確定に成功した。大小2種類の環状ゲノムを持つ頃が確認され、新規phbCAB遺伝子の存在を確認した。
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