研究課題/領域番号 |
20K21871
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
伊藤 克敏 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水研機構(廿日市), 主任研究員 (80450782)
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研究分担者 |
中村 龍平 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, チームリーダー (10447419)
伊藤 真奈 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水研機構(廿日市), 研究員 (60735900)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 環境電位 / 底質汚染 / 電位操作 / 硫化物量 / 底生動物 / 菌叢解析 |
研究実績の概要 |
本研究では、【実験1】①「浄化能が強化される底質」、【実験2】②「電位操作により浄化が著しく促進される底質」のメカニズムを解明することを目的とする。令和2年度は初年度であり、主に【実験2】②「電位操作により浄化が著しく促進される底質」のメカニズム解明に取り組んだ。具体的には、大坂湾内大正内港にて採取した重度の有機汚濁底質を、電位操作が可能なリアクター内に入れ、人為的に正の電位(0.30mV)に操作し、60日間、20℃で培養した。作用極にはガラス電極(フッ素ドープ酸化スズ(FTO)電極)を用い、電位操作を行わないリアクターを対照区とし、各試験区には4つの繰り返し区を設けた。試験開始から、10日、30日、および60日後に、底質を採取し、硫化物量および硫酸還元菌数の経時変化を解析した。なお、硫酸還元菌数は定量PCR法により測定した。対照区の硫化物量は試験開始時の11.4mg/gから60日目には硫化物量の値が2割減少した。人為的に電位を0.30mVに操作した試験区の硫化物量は、30日目から減少しはじめ、60日目には平均6割減少となり、対照区と比較して有意な差が認められた。硫酸還元菌数は、硫化物量と同様に、30日目から対照区と比較して低い値を示し、60日後には有意な差が認められた。以上の結果から、汚染底質の電位を人為的に操作することで、硫化物量を削減すると共に、硫酸還元菌を減少させることが可能であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度はコロナ禍の状況のもと、出張の制限など様々な制約の中、初年度の課題を実施した。研究打ち合わせ等、web上で対応できる事柄については、柔軟に対応し、試験をほぼ予定通り実施することができた。また、試験結果に関しても、想定していた研究成果を得ることが出来、学会等で成果を公表できたことから自己評価を【(2)おおむね順調に進展している】とした。
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今後の研究の推進方策 |
同一条件で繰り返し試験を実施した各電位リアクターにより、浄化効果が異なることから、菌叢解析等でそのメカニズムの解明を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で、打ち合わせ等で使用する予定の旅費が執行できなかったため。なお、打ち合わせはweb会議で実施した。なお、残予算に関しては、菌叢解析の解析数やオプション解析の費用に充てる予定である。
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