研究実績の概要 |
本年度の実験研究では、主な研究対象をゼブラフィッシュと線虫とし、腸内流動と腸内細菌挙動、物質吸収を可視化計測した。本年度の主な研究実績は、以下の通りである。 1.線虫の腸内流動と腸壁への物質吸収を可視化計測した。その結果、腸内流動によって腸壁への物質輸送が促進されることが明らかとなり、促進量はペクレ数の2乗に比例することが分かった。この成果は、総合誌で定評のあるScientific Reports誌に掲載された(Suzuki, et al., Sci. Rep., 2022)。 2.体の隙間のような狭い空間においては、細菌の挙動が通常と大きく異なり、隙間から逃げるような行動が観察された。この研究成果の意義を議論した論文が、生物物理学分野で定評のあるBiophysical Journal誌に掲載された(Ishikawa., Biophys. J., 2022)。 3.大腸菌などの微生物が高い数密度で凝集した際の物質輸送を数値シミュレーションによって調べた。その結果、密集することで細胞周りに強い流れが作り出され、物質輸送が促進されることが明らかとなった。この成果は、2編の国際会議論文(9thWCBとPSFVIP13)として発表された。 4.ゼブラフィッシュの腸内における蛍光大腸菌のライブイメージングに成功した。この成果は、腸内フローラの解明につながる画期的な成果であり、2編の国際会議論文(9thWCBとPSFVIP13)として発表された。
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