研究課題/領域番号 |
20K21883
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
日比野 浩 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70314317)
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研究分担者 |
楠原 洋之 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (00302612)
緒方 元気 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (80452829)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | 針状ダイヤモンドセンサ / 局所薬物動態 / てんかん / 電気化学センサ / フリームービング |
研究実績の概要 |
前年度は、薬物濃度を測定する針状ダイヤモンドセンサと神経活動を測定するEEG電極をラット脳に埋め込み、覚醒・自由行動下で脳の局所薬物濃度、神経活動および全身症状を同時にリアルタイム計測できる実験系を立ち上げた。そして、抗てんかん薬ラモトリギンを静脈投与した際のこれらパラメータをモニタリングした。しかしながら、動物が自由に行動できるため、非常にノイズが大きく、薬物濃度と神経活動変化の相関関係を明らかにできなかった。本年度は、まずラモトリギン以外の多種類の抗てんかん薬について基礎的な電気化学測定を実施し、反応性を網羅的に調べた。その中で、良好なシグナル・ノイズ比を示し、最も高感度に測定できた抗てんかん薬クロナゼパムについて、リアルタイム測定プロトコルと解析手法を最適化した。まず、測定の時間分解能と感度を上げるために、短いパルス状の電位を与えた際の電流変化を記録する矩形波ボルタンメトリーを採用した。さらに、薬物の電気化学反応が見られない電位と反応が顕著に見られる電位の比をとるレシオメトリック解析を用いることで、in vivoにおけるシグナルのノイズやドリフトの影響を最小限にした。この計測手法で、ラット脳に刺入した針状ダイヤモンドセンサによる、クロナゼパムのin vivo脳内モニタリングを実施した。その結果、検出限界0.19 μMという高感度な測定が実現できた。さらに、約5秒の時間分解能で薬物動態を捉えた結果、静脈投与から5分以内にピーク濃度を迎える高い脳移行性が示された。
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