研究課題
本研究では,熱電発電デバイス自体に信号増幅作用を付加した生体情報センサの開発を目指している.自己発電型センサの基本材料となるフレキシブル熱電材料として,マイクロ波支援ソルボサーマル合成法により作製したZnOナノ結晶/導電性NiCu布に着目しているが,本年度は,フレキシブル熱電材料高性能化の重要なパラメータのひとつであるナノロッド長を,ZnO成長工程を繰り返すことにより,所望の直径(20-300nm)を保持しつつ500nmまで増やすことに成功した.工程の繰り返し回数に対してロッド長が線型的に増加するため,回数を増やすことによりロッド長をさらに延ばせる可能性がある.研究期間全体を通じて得られた研究成果について,以下にまとめる.1.マイクロ波支援ソルボサーマル合成法により,従来法より短時間(100分の1)で垂直かつ密にZnOナノロッドをNiCu布上に形成することに成功した.それに加えて,本手法によりナノロッド長を制御できることも見出した.2.3種類の導電性布材料にてフレキシブル熱電デバイスを試作して,印加した温度差に応じた電力が出力されることを確認した.その特性から異種布間の電気的・熱的接触抵抗が大きく影響することが示唆されたため,異種布間の接続方法を工夫することにより電気的接触抵抗を低減したがまだ不十分であり,さらなる低減を探究している.3.p型半導体とn型半導体の対で構成される熱電発電デバイスがセンサ機能・信号増幅機能を持つことを確認するために,アルメルクロメル熱電対とコンデンサ・抵抗といった回路素子を用いて模擬実験を行った.熱電対に温度差を与えつつ周期的信号を印加したところ,周期的な波形がコンデンサを通して熱電対端子に観測され,直列につないだ熱電対の数に応じて信号振幅が増加しており,熱電発電デバイスによる信号増幅機能の可能性を示すことができた.
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 5件) 備考 (1件)
Journal of Materials Science: Materials in Electronics
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https://wwp.shizuoka.ac.jp/ikedalab/