終了年度(令和3年度)の計画は、①可視光半導体レーザーの短パルス光をファイバーを通してターゲットに照射し、反射光はファイバーを通して受光するTOF測定である。②閉所空間内にターゲットとファイバー先端を配置してTOF測定を行い、最終評価を行う。目標値は、③可視光半導体レーザー光パルス幅1ns、TOF測定距離50mm、測定精度1mmである。 結果は次のとおりである。①赤色半導体レーザー(波長637nm)から出射した短パルス光(パルス幅1ns、周波数100kHz)を照射用光ファイバーから出射し、測定ターゲットに照射した。その反射光を受光用光ファイバーにて受光し、超高速の光検出器(アバランシェフォトダイオード)にて電気信号に変換して超高速ディジタルオシロにてTOF測定を行う測定システムを構築した。②内寸50mm×50mm×50mmの狭閉空間をもち、内側6面に高反射率の反射材を張り付けた、高反射閉空間実験ボックスを作製した。この閉空間にてファイバーを使ってパルス光を照射して反射光からTOF測定を行った。TOFのS/Nを上げるためディジタルオシロスコープにて統計処理を行い、平均値と標準偏差を求めた。③その結果、レーザー光パルス幅1ns、TOF測定距離50mmにおいて測定精度(標準偏差)0.95mmが得られ、目標値をクリアした。 また、LiDAR機能の机上検討として、ファイバー先端にピエゾ素子を形成する方法を調査した。ガラスファイバーを損傷することなく比較的低温で薄膜状のピエゾ素子を形成するには、スパッタ法、エアロゾルでポジション法、トランスファー法による転写などが候補となることが分かった。 以上の結果により、本研究の最終目的である低侵襲の3D内視鏡の実現に向けた、超極細ファイバーを使ったLiDARの原理を検証できた。本研究の成果は論文投稿を行う予定である。
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