細胞外ベシクル生成用の微小孔アレイデバイスを以下のように製作した。Si基板を加工して3×3個の矩形マイクロウェルを形成し、各ウェルの底面をSiN製の自立膜(一辺約300μm、膜厚約1μm)で構成した。SiN膜には、1ウェル当たり8×8個の微小孔(直径約4μm)を形成した。このウェルアレイにPDMS製の矩形フレームを接着することで、細胞播種が可能なチャンバを形成した。次に、ベシクル膜を固定化するための微小孔アレイデバイスを製作するために、別のSi基板を加工し、多数の微小孔を有するSiN自立膜(一辺数mm、膜厚約1μm)をSi基板で保持した。そして、ベシクル膜固定用デバイスをSiN膜表面が上面になるように設置し、SiN膜上に培地を滴下した後に、その上からベシクル生成用デバイスを重ねて設置した。これにより、両デバイスのSiN膜間に約5μmの培地層を形成した。
酪酸ナトリウムによりアポトーシスを誘導したヒトBリンパ球様細胞Ramosをベシクル生成用デバイスのチャンバに導入した。微小孔上に固定化された細胞がベシクルを生成し、そのベシクルが微小孔直下に成長し、2枚のSiN膜の間に挟まれるようにして広がった。両デバイスを分離することで、ベシクル膜固定用デバイスの微小孔アレイ上にベシクル膜を転写して固定化した。予め細胞膜をDiIで染色しておくことで、蛍光発光するベシクルを生成した。生成されたベシクルの個数と、転写されたベシクル膜の個数をカウントし、後者を前者で除することでベシクル膜転写率を求めた。その結果、予め両デバイスのSiN膜表面に細胞膜アンカー分子を修飾してベシクル膜固定の効果を高めることで、約24%の転写率が得られることが分かった。
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