研究課題/領域番号 |
20K21909
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
白石 貢一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (40426284)
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研究分担者 |
望月 慎一 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (10520702)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | 抗PEG抗体 / PEG鎖 / 抗原結合部位 |
研究実績の概要 |
1)抗PEG抗体としてのIgM抗体とPEGとの相互作用解析 抗PEG IgM抗体とPEG鎖との間には強く結合する作用はなく、PEG鎖が抗PEG IgM抗体に近づくことと、PEG鎖に修飾された疎水的な相互作用が結合に関与するという2要素が必要である。そこで、抗PEG IgM抗体とPEG鎖との近づく作用を検証した。興味深いことに、抗PEG抗体のPEG固定化表面への結合は、高濃度の硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸テトラメチルアンモニウム存在下にて抑制されたが、一方で、塩化アンモニウム、塩化カリウム存在下では抑制されないことを見出した。このことは抗PEG IgM抗体がPEG固定化表面に結合する際に、抗PEG IgM抗体と硫酸イオンとの間に相互作用が生じており、この作用によって結合が抑制されていることを意味する。この硫酸イオンの影響は以下の可能性を示唆する。第一に、抗PEG IgM抗体のPEG鎖を弱く結合する部位に硫酸イオンが同様に配位する場合と、第二に、抗PEG IgM抗体がPEG鎖を利用して強く結合する部位に硫酸イオンが作用している場合である。そこで、硫酸イオン存在下で抗PEG IgM抗体に分子量12kのPEG-OHを添加すると、PEG-OHの量に応じて抗PEG IgM抗体のPEG固定化表面への結合が復帰した。さらにPEG-OHを加え続けると、PEG-OHによる抗PEG IgM抗体のPEG固定化表面への結合が抑制された。これらのことは、抗PEG IgM抗体がPEG鎖に対して弱く作用する部位に硫酸イオンが重要な働きを示していることを意味する。しかしながら、その相互作用は弱く、その配位力はPEG-OHの抗PEG IgM抗体への配位力より弱いことを示唆している。分子量100kのPEGとアミノ酸分子における1H NMRによる評価を行ったところ、特定のアミノ酸の官能基と相互作用することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
aモノクローナル抗PEG抗体を用いて、どのような抗PEG抗体とPEG鎖の間に相互作用があるかを検証し、ポリクローナル抗体でも同様に起こる現象であることを確認した。その中で、PEG鎖が近づくことができる抗原結合部位に硫酸イオンが近づけることを見出した。この作用を種々の分析により特定して検証している。
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今後の研究の推進方策 |
抗原結合部位の検証、他の高分子鎖に対するモノクローナル抗体を用いて、PEG鎖との交叉性を確認しつつ、PEG鎖が近づくことと、結合することの作用を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度の実験計画は春先の大学実験施設の停止期間が発生したことに基づき、やや遅れたために生じた。
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