研究課題/領域番号 |
20K21915
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
水野 敏秀 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (40426515)
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研究分担者 |
西中 知博 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (00256570)
稲富 絢子 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 流動研究員 (40823464) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | 人工胎盤 / 人工子宮 / 胎盤型ECMOシステム / 早産低出生体重児 |
研究実績の概要 |
早産児および先天性心疾患や先天性横隔膜ヘルニア、先天性肺気道奇形などの合併症をもつ新生児において、出生後に酸素化や循環動態を維持できない症例が多く存在する。その大きな要因として、新生児には動脈管および肺血管抵抗という2つの新生児特有の問題点が存在し、呼吸循環管理を一層困難としている。そこで、本研究は動脈管を維持し肺でのガス交換を行わない、胎内と全く同じ循環動態を利用した新たな新生児呼吸循環管理法として、臍帯動静脈をブラッドアクセスとし血液ポンプによる循環補助下に膜型人工肺による酸素化を行う胎盤型ECMOシステムの開発を行っている。本研究は新生児の生命予後を劇的に改善する可能性を秘めており、本研究によって新生児呼吸循環障害における革新的管理法を創出し、治療成績を向上させることを最終的な目標とした。 2020年度は胎盤型ECMOシステムの構築を行った。体外循環回路は膜型人工肺、非接触浮上式遠心ポンプ、ヘパリンコーティング回路を主要構成要素とした。約1日までの胎盤型ECMOシステム灌流を1例において達成したが、臍帯血管の安定性維持が課題であった。臍帯血管安定性維持法の改良を行い、2例において約5日間のECMOシステム灌流を達成した。全身状態の管理法と更に長期間の安定した胎盤型ECMOシステム灌流を可能とするシステム改良が課題であり、これらの解決に向けて研究を推進していく方針にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胎盤型ECMOシステム灌流時間の延長傾向を達成しつつあり、さらなる延長と安定化に向けた課題の解決に向けた改良を推進している。
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今後の研究の推進方策 |
初年度研究により、ヤギ胎児に対する当該コンセプトで構成された胎盤型ECMOシステムは,母体外での胎児の生命維持が可能で、本計画および開発システムの妥当性は示された。最終年度の本年は、ECMOシステム灌流時間の延長と安定化を目標に、新生児の生命維持に最適な体外循環回路圧、体外循環回路流量、心拍数、酸素飽和度、心電図等の生理学的指標の経時的なデータ収集を実施する。これらの結果に基づいて,胎盤型ECMOシステムに最適な回路構成を検討し、システムの基本設計を実施する。また,次年度の新規申請に向けて胎盤型ECMOシステム開発計画を立案し、本システムの実用化に向けた研究を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症流行による学会出張等が中止となったため.余剰分は次年度研究費として繰り越し,使用する.
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