研究課題/領域番号 |
20K21918
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
王 欽 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80875683)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 竹内好 / 終末観 / アジア / 魯迅 |
研究実績の概要 |
2020年度には、竹内好のアジア論と終末観の関係をめぐって、資料を整理していた。テーマとして前面に出されてはいないものの、終末観は竹内好の議論において貫いている視点として存在していることを確認した。実績に関していえば、2020年度に竹内好について英語論文を三本書いた。そのうち、竹内好の名高いエッセイ「近代とは何か?」を新たな視点で読み返すものとしての「Literary and Powerlessness」はpositions: asia critiqueに掲載され、「On Takeuchi Yoshimi's Aesthetics of Eschatology」はFrontiers of Literary Studies in Chinaに掲載される予定である。そして、Frontiers of Literary Studies in Chinaでは竹内好についての特集を編集している。一方で、竹内好の研究対象としてよく扱われている、中国近代文学者の魯迅について、彼の書いた小説『故郷』に関する一本の中国語論文を『中国現代文学研究叢刊』(2021年第2号、査読あり)に掲載されている。 口頭発表について、東京大学東アジア藝文書院(EAA)が主催したイベントで、竹内好の憲法論を扱ったエッセイを発表した。 コロナ禍の状況においては、2020年度にコンファレンスや海外出張は無理であった。したがって、予算のご利用は2021年度に譲っていくつもりである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題は、竹内好における終末観とアジアをテーマとして研究を進めていくつもりで提出されたものだから、あと一年間ぐらいを経て数本の論文を整理し、本として英語で出版するつもりである。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の客観的状況を鑑みながら、竹内好に関する学術コンファレンスやシンポジウムを開催する可能性を検討していくこと。世界的に優れた研究者を集めていただき、竹内好が想像した「方法としてのアジア」や国際的連帯を国際政治の現実を勘定にいれながら、あらためて検証し、現在われわれが直面しているさまざまな社会的・政治的問題について有意義な読解を施していくこと。それにもとづいて論文集を出版すること。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はコロナ禍のせいで、シンポジウムやコンファレンスを開催できなかった。しかも、基本的には在宅勤務したので、設備購入もできなかった。今年度は状況を鑑みながら、国際的なコンファレンスや講演会をやるつもりだから、助成金が生ずるはずである。
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