研究課題/領域番号 |
20K21934
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研究機関 | 跡見学園女子大学 |
研究代表者 |
横堀 応彦 跡見学園女子大学, マネジメント学部, 講師 (40732483)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | ドイツ演劇 / ドラマトゥルギー / ドラマトゥルク / 劇場環境 / 文化政策 / オペラ / 共同制作 / 公立劇場 |
研究実績の概要 |
本研究は現代ドイツにおける劇場環境の変化とそこで創作される舞台芸術作品のドラマトゥルギーとの相関関係を問うものである。研究実施にあたっては(1)研究資料の整備、(2)ドイツ国内の劇場およびフェスティバルの実地調査、(3)ドラマトゥルギー分析の3つの研究手法を用いる。 2020年度は本研究の準備段階として位置づけ、主に(1)研究資料の整備に取り組んだ。具体的にはドイツ演劇に関連する図書および映像資料の収集を開始したほか、本研究で扱うテーマが同時代的問題に関連することから批評理論や思想一般にかかわる欧米並びに日本の資料を広く収集した。(2)ドイツ国内の劇場およびフェスティバルの実地調査については、2020年度中に事例研究対象とするドイツ国内の複数の劇場の実地調査を行う計画を立てていたが、新型コロナウイルス感染症の影響により海外渡航が困難となったため文献調査およびオンラインを活用した調査に切り替えて実施した。(3)ドラマトゥルギー分析についてはドイツと日本の劇場環境を比較分析する上での基礎的研究として、日本における創作プロセスとドラマトゥルギーの関係についての研究論文「劇場がオペラをつくる──東京芸術劇場シアターオペラの事例から──」を執筆した。同論文における論点は本研究においてドイツ演劇を論じる際に基礎となるものである。 以上のとおり2020年度は現代ドイツにおける劇場環境の変化について文献調査を中心に分析することで研究の基礎固めを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は研究期間が9月中旬から年度末までの約6ヶ月半と限られていたが、研究実績の概要で述べたように研究計画に沿った図書や映像資料等の資料収集を行った。ドイツ国内の劇場およびフェスティバルの実地調査については新型コロナウイルス感染症の影響により海外渡航が困難となったため文献調査およびオンラインを活用した調査に切り替えて実施した。ドラマトゥルギー分析についてはドイツと日本の劇場環境を比較分析する上での基礎的研究となる論文を発表したものの、本研究と密に関わる内容の論文の発表には至らなかったため2021年度の課題としたい。以上のとおり一部研究計画通りに進んでいない部分はあるものの、全体的には概ね順調に進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況で述べたように本研究はおおむね順調に進展しており、2021年度も研究計画に沿った研究を継続する予定である。ただし当初計画していたドイツ国内の劇場およびフェスティバルの実地調査については新型コロナウイルス感染症の影響により海外渡航の見通しが立たない場合、2020年度同様に文献調査およびオンラインを活用した調査に切り替えて実施することにしたい。具体的な研究内容としてはドラマトゥルギーを担当する職能であるドラマトゥルクの職能を分析するためドイツ国内の高等教育機関におけるドラマトゥルク養成の在り方を調査するほか、劇場環境の変化が作品のドラマトゥルギーに及ぼしている相関性の考察を進めていく。また国内では2021年6月に行われる日本演劇学会全国大会で「共同製作のドラマトゥルギー─現代ドイツにおける劇場環境の変化に関する一考察─」と題した本研究と密に関わる内容の研究発表を行い、国内の演劇研究者と議論する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はドイツ国内の劇場およびフェスティバルの実地調査を計画していたが新型コロナウイルス感染症の影響により海外渡航の見通しが立たないため、文献調査およびオンラインを活用した調査に切り替えて実施する際の費用に振り替えて支出することとした。その結果僅かな未使用金が発生したが、2021年度中に費消予定である。
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