まず、解剖図・解剖書およびそれを制作した画家について整理作業を進め、そのデータをもとに、該当する作品資料の調査を実施した。その結果、それらが医師たちの手によって繰り返し写され、学術的な書籍・図版として流布していく過程を考察することができた。また、表現技法の点から、円山派の画家および銅版画家が解剖図・解剖書制作に重用されたことを明らかにすることができた。 また、18~19世紀における解剖学的関心の高まりと、同時代の骸骨図の解剖学的正確性の向上に関して、解剖図・解剖書と骸骨図の比較検討を行った。その結果、19世紀以降に盛んになった整骨や木骨制作が作画に活かされた可能性を検討することができた。
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